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「実は駅勤務は入社以来初めてなんです」
前述の通り、博多駅に乗り入れているのは、JR九州の路線だけではない。新大阪・広島方面からやってくる新幹線の駅はJR西日本の管轄。さらに福岡空港や天神などと結んでいる福岡市地下鉄も乗り入れる。こうした“他社の博多駅”との連携も重要だ。小倉~博多間でJR九州の在来線と競合しているJR西日本の山陽新幹線はいわばライバル。だがそうした意識はあまりないと中野駅長は言う。
「むしろ同じ博多駅の仲間、という感覚ですね。列車の接続とかで連携する必要もありますし、JR西日本さんとは駅同士で互いにサービスを磨こうということで合同の取り組みもしています。それにお客さまからしたら、JR九州とか西日本とか、関係ないですからね」
そんな中野駅長、実は駅で勤務する経験は入社以来初めてなのだとか。現在では、事務、営業系統の社員は、必ず最初に駅の現場で経験を積む。ただ、中野駅長が入社した1991年当時はそうした仕組みはなかったという。
「駅勤務からキャリアが始まる流れになったのは私の入社した次の年からなんです。私は1週間だけ小倉駅で研修を受けたくらいです。その頃は自動改札なんてもちろんなくて、改札口ではスタンプを持って立っていた時代ですね(笑)。そのあとは鉄道の営業に関する業務を長く務めました。例えばD&S列車の中で販売する商品やおもてなしを考えたり、2011年に九州新幹線が全線開業した際には関西地区の学校に『ぜひ修学旅行で南九州に来てください』と営業したり。そういう仕事をしていました」