1日あたりの乗車人員、約12万4千人――。東京の大ターミナルなどと比べれば少なく感じるかもしれないが、これでも九州ではダントツのNo.1である。福岡の、そして九州の玄関口・博多駅。この乗車人員12万4千人という数字はJR九州博多駅だけのものだから、JR西日本が管理する新幹線博多駅や福岡市地下鉄の博多駅、さらには列車に乗るためではなく駅ビルにショッピングで訪れる人も含めれば、博多の駅を行き交う人の数はもっと膨れ上がる。JR九州博多駅は、その中核を担う存在だ。
「九州最大の駅ですからね。本当に老若男女、様々な方がいらっしゃいます。ご利用の目的も朝や夕方ならば通勤通学、あとD&S(デザイン&ストーリー)列車と私たちは呼んでいますが、いわゆる観光列車に乗ろうというお客さまもいらっしゃいますし、海外からいらっしゃる方も多い。私たちの仕事は、それだけたくさんの方の暮らしを支えているんだなあと、そう感じますね」
こう話してくれたのは、JR九州博多駅の中野幹子駅長。JR九州の博多駅でははじめての女性駅長として、今年4月に着任したばかりだという。そもそも、駅長の仕事とは具体的にどういうものなのだろうか。
My ホウキでの掃除から1日がスタート
「駅長の1日は、掃除から始めています。朝7時40分くらいから、副駅長と一緒にホームからコンコースまで掃除してまわる。他にやらなければいけないことがあれば別ですが、毎日の日課ですね。だから“My ホウキ”を持っているんですよ。ちょうどラッシュの時間帯ですから、少しでも気持ちよく通勤通学の朝を迎えていただけたらと。そういう思いで毎朝やっています。掃除が終われば、9時に朝礼をして駅員たちをそれぞれの職場に送り出して、そのあとは事務作業をしたり、地域の方とのミーティングに参加したり。今日は午前中に地域の方々と駅前の掃除をしましたね」
ちょうど今、博多の街は博多祇園山笠のシーズンを迎えている。博多駅前には大きな飾り山笠も鎮座。中野駅長も神事に参加するなど、山笠の盛り上げに一役買っているのだ。
「改札口に立ってご案内している駅員は法被を着ますしね。あとはソフトバンクホークスの『鷹の祭典』でも駅員はユニフォームを着るんです。やっぱり地域あっての博多駅ですから、地域を盛り上げるのも大事な仕事。お祭りとかを楽しみにして来られているお客さまの様子を拝見すると私たちも楽しい気持ちになりますよね。そこに貢献できている、というのが駅の仕事のやりがいのひとつです」
そうした中でも、中野駅長は基本的に1日に2回はホームに行くようにしている。さらに時間を見つけては改札口やみどりの窓口にも足を運び、現場の駅員たちとともに利用者と接する機会を設けているという。