プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの今江年晶内野手(35)が戦線を離脱しています。

 春のキャンプ直前に右目の違和感を訴えて検査を受けたところ、「中心性漿液性脈絡網膜症」と診断。開幕後も二軍で調整を続け、5月には一軍に上がったものの、7月に入って再び右目の不調を感じ、医療機関を受診して、前回と同じ診断が下りたようです。

 目の奥にある網膜の一部が剥離して膨れ上がり、視野の一部が暗くなるなどの症状を示すこの病気。今江選手の発症の経緯は分かっていませんが、30代から40代の働き盛りの世代に多い病気です。そして、はっきりとした原因は分かっていないものの、眼科医の間では「どうやら精神的なストレスが関与しているらしい」という統一見解が得られているのも事実です。

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 いったいどんな病気なのでしょう。

5日に、右眼の中心性漿液性脈絡網膜症の再発と診断された今江年晶内野手 ©時事通信社

「中心性漿液性脈絡網膜症」という目の病を知っていますか?

 名前は、長くなるほど怪しげだ。

 山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」は、発表直後から世間の不評を買った。鉄道業界を代表するキラキラネームとして名高い東武野田線の愛称「アーバンパークライン」などは、本名よりもニックネームのほうが長くて言いにくいという、本末転倒な事態に陥っている。

 ならば「中心性漿液性脈絡網膜症」という病名はどうだろう。精神的なストレスと密接な関係があるとされる目の病気で、患者数も少なくない。漢字ばかりなのでキラキラはしていないが、長いわりにどんな病気なのかが想像しにくい病名ではある。

 しかし、この病名には国際的に通用する略称がある。「CSC=central serous chorioretinopathy」だ。漢字だと11字も要する病名が、アルファベット3文字で済むのだから便利でお得だ。この記事ではこの先、CSCで済ませていくことにする。

突然、視野に「薄墨」がかかって見える

 IT企業の人事部マネージャーを務めるMさん(42)は、ストレスだけは売るほど持っていた。メンタルを病む社員の多い彼の会社では、その手当だけで人事担当がうつ病になりそうな忙しさだ。加えて、内定を出した人物には、よその会社に行かれないようにチヤホヤしなければならない。逆に不採用となった人物からは、ネット上に名指しで根も葉もない悪口を書かれることもある。激務と心労で彼の体は悲鳴を上げていた。

 ある日、会議用の資料を眺めていたら、紙の一部が薄く墨がかかっているように暗く見えた。紙を動かすと、薄墨がかかっている部分が動く。つまり、紙ではなくMさんの目のほうに問題があるのだ。

©iStock.com

 その時はあまり気にしなかったのだが、同じような現象にたびたび気付くようになる。片方ずつ目を閉じてみると、右目で見たときに「薄墨」がかかることもわかった。

 ちょうどメガネを買い替えようとしていた時期だった彼は、メガネショップを訪れた。しかし、どう調整しても右目の視力が合わない。そこで初めて店員に「薄墨」の一件を伝えると、「メガネを作る前に眼科を受診したほうがいい」と勧められたのだ。