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2019/07/13

レーザー治療で多くは治る症状だが……

 Mさんには「カルナクリン」という飲み薬が処方された。これは末梢血管を拡張して血液循環を改善する薬で、CSC治療でよく使われる。CSCの場合、薬を飲んでも飲まなくても自然に治ってしまうことも多いのだが、3カ月ほど内服薬で様子を見て、思ったほどの改善が見られなかったMさんは、レーザー治療を行うことになった。

 漿液が漏れている箇所に向けて、角膜から水晶体越しにレーザーを照射して瘢痕化、つまり「やけど」をさせるのだ。やけどした組織は、自然治癒力で元の状態に戻ろうとする。その結果、漿液が漏れていた穴も塞がり、網膜のむくみも治まる――という仕組みだ。

©iStock.com

「レーザーを当てた瞬間、目の奥のほうに熱いような痛みを感じるという人もいますが、黄斑部付近のレーザーは弱めに当てるのでそれほど苦痛はないかと思います。多くはレーザー治療をしてから1カ月もすれば症状も消えます」

 と語る山口医師の言葉通り、Mさんの「薄墨がかかったような症状」も消えて行った。とりあえずは完治ということだ。

 しかし、山口医師は警鐘を鳴らす。

「精神的なストレスが原因なら、元のストレスを解消しない限り再発のリスクがあります」

失明の危険性も……ストレス、過労、睡眠不足は要注意!

 では、そもそもなぜ精神的なストレスが、目の奥の網膜に異常を起こすのか。

「それが分からないのです。ただ、ストレスが多い人、過労の人、睡眠不足の人にCSCが多いことは確かで、これはほぼすべての眼科医共通の認識になっています。ストレスで網膜色素上皮のバリア機能が低下するのではないか――などの説は、考えられないことではありません」

 まあ、胃酸の分泌量を増やしたり、血圧を高めたり、免疫力を下げてがんまで引き起こす実力者のストレスにとって、目の奥に良性のむくみを作るくらいのことは簡単なのだろう。

 ただ、良性とはいえCSCは、放置すれば視力障害を引き起こす危険性はある。

©iStock.com

 また、50歳以降で似たような症状が出た場合、「加齢黄斑変性」という失明原因にもなる重大疾患の危険性もあるので、一度は検査を受けておくべきだろう。

 ちなみに、今回紹介したMさんの症例で称賛されるべきは、メガネ屋さんだ。この店員が目の異常に気付かず、適当にメガネを売り付けていたら発見は大幅に遅れたはずだ。

「メガネやコンタクトレンズを作る時にお店で行う検査では、CSCを見つけることはできません」(山口医師)

 良心的なメガネ屋さんと付き合いたいものだ。

 最後になりますが、今江選手の一日も早い戦線復帰を祈念いたしております。

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