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「おお、青森っぽい」リンゴ畑が続く車窓

 普通列車、とは言ったけれどそもそも五能線には特急などは走っていない。五能線を一躍有名にした観光列車「リゾートしらかみ」が走っているほか、快速(とは名ばかりでほとんどの駅に止まるのだが)があるくらい。本数もかなり少なくて、全線を通して走る列車は「リゾートしらかみ」を除くと下り2本・上り1本だけである。だから通勤電車の終着駅のように気軽に「行ってみた」とはなかなかいかないのだ。結局、全線走る列車には乗れず、10時23分弘前発深浦行の列車に乗り込んだ。

「五能線」の旅のスタートは弘前駅から

 ローカル線だから車内はどうせガラガラだろうとタカをくくっていたが、そこそこ混んでいる。乗っているのは学生と思しき若者たちと、あとはご年配のグループが数組。聞けば観光で仙台からやってきたという。弘前から川部までは電化されている奥羽本線を走るが、五能線自体は非電化なので車両はもちろん気動車だ。エンジン音を響かせながら、しばらくは津軽平野を走る。車窓から見えるのは岩木山とリンゴ畑。岩木山は円錐形の美麗な山で津軽富士の異名も持つ津軽地方のシンボルだ。そしてリンゴももちろん津軽の特産。最初はリンゴ畑を見て「おお、青森っぽい」とテンションも上がるが、どこまで行ってもリンゴ畑は延々と続くので少し退屈になってくる。

『俺ら東京さ行ぐだ~』途中下車するなら五所川原

 弘前から40分ほど走ると、五所川原駅。ここは津軽鉄道との分岐駅だ。津軽半島の中央を南北に走る津軽鉄道は日本最北の私鉄路線。金木駅付近はご存知太宰治の故郷である。そして、『俺ら東京さ行ぐだ~』の吉幾三も金木出身だとか。さすがに今はテレビもあるしラジオもあるし(もちろんネットもあるし)、お巡りもぐるぐるはしていないが、まあだいぶ田舎であることは間違いない。五能線を旅しつつ、途中下車も楽しむというなら、五所川原から津軽鉄道に乗り換えるのはまず欠かせないところだろう。

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津軽鉄道に乗り換えできる五所川原駅

 もうひとつ、途中下車をしてみるならば気になる駅が、五所川原の少し先にあった。木造駅だ。この駅は近くに高校もあるようで、学生たちの乗り降りが多くて少し賑やか。そして、なんと驚くべきことに駅舎が土偶の形をしているのだ。木造駅のあるつがる市には縄文時代晩期の亀ヶ岡遺跡があって、そこから発掘されたのが国の重要文化財にも指定されている遮光器土偶。ほっそいお目々が特徴的なこの土偶、地域のシンボルとして“シャコちゃん”と名付けられ、駅舎にもなったということらしい。木造駅にいた高校生に聞いてみると、「不気味ですよね」と半笑いであった。

土偶の存在感が強すぎる木造駅