おや? と思う記事があった。

「自民、高投票率を期待」(日経7月10日)である。

二階幹事長と甘利選対委員長からのこんな通達

 最近の世論調査では、他の世代に比べて「20~30歳代の若年層」の自民への支持が高いという。しかしこの世代は投票率が低い。なので自民党は参院選の投票率の上昇を期待しているというのだ。

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 記事によると、二階幹事長と甘利選挙対策委員長の連名で所属議員にこんな通達を出したらしい。

「かつてないほど有権者の関心が低調なまま推移し、投票率の大幅な低下が懸念される」

「このままでは労働組合など組織票を持つ野党に有利に働く一方、安心した与党支持者が投票に行かず、逆転を許しかねない」

二階俊博幹事長 ©JMPA

 はー、変われば変わるものだ。

 かつて森喜朗氏が無党派層は「関心がないといって寝てしまってくれれば」と選挙前に発言したことがあった。投票率が下がったほうが自民党に有利という「見解」を示したのだ。“歩く失言”森喜朗。

森喜朗氏 ©文藝春秋

 あの過去を考えると若者の投票率が上がったほうがいいという今の自民党は何が変わったのだろうか。

SNS発信は偶然ではなく、“若者対策”をした成果

 実は、「若者と自民党」に関して読ませる記事が最近いくつかあった。

 まずはこちら。

「若者狙う、首相のSNS術」(朝日新聞7月3日)

《安倍晋三首相が、芸能人とSNSでの「共演」を重ねている。自身のツイッターや首相官邸のインスタグラムに記念写真を積極的にアップ。「イメージ重視」の発信で、参院選の公示を4日に控えて若年層へのアプローチを意識しているのは明らかだ。》

 ここでいう「芸能人との共演」とは、

・「関ジャニ∞」の村上信五さんと笑い合うツーショット写真(ツイッター&インスタ)

安倍晋三首相のツイート

・首相公邸で吉本新喜劇のメンバーと面会し、官邸のインスタで生配信

・アイドルグループ「TOKIO」と東京都内のピザ店で食事(記念写真を添えたツイートを発信)

・俳優の高畑充希さんが首相とのセルフィー(自撮り)をインスタに投稿

 らを指す。こうしてみると芸能人が次々に「投入」されていることがわかる。

 見逃せないと思ったのはこの部分だ。

《官邸のSNS運営は、民間企業からの出向も含む内閣広報室の20代、30代の若手職員約10人らが担う。首相や官邸がSNSに力を入れるのは、支持層固めを意識するためだ。》

 SNS発信は偶然ではなく、“若者対策”をした成果ということがわかる。