順位戦の制度が確立したのは戦後まもなくであり、また森内が17歳になった1ヵ月後に第1期の竜王戦が始まっている。そして大山十五世名人以前の記録は戦前ということもあり、現在とは状況が違い過ぎるので一概に比較はできないが、17歳時点での藤井は歴代の名棋士と比較しても実績では一頭地を抜いていると言ってよいだろう。
なお藤井が棋戦優勝を果たす以前に最年少棋戦優勝経験者だった加藤一二三九段の17歳時点(1957年1月1日)をみると、段位=六段、順位戦=B級2組、棋戦優勝1(六、五、四段戦)となる。
次なる期待はタイトル挑戦・獲得の年少記録更新
17歳を迎えた藤井にかかる期待といえば、なんといってもタイトル挑戦・獲得の年少記録更新だろう。こちらの記録はいずれも屋敷伸之九段(1972年1月18日生まれ)が保持している。挑戦は第55期棋聖戦で1989年12月12日に17歳10ヵ月24日で、獲得は第56期棋聖戦で1990年8月1日に18歳6ヵ月14日でそれぞれ達成した。
藤井にとってタイトル挑戦の最年少記録を更新するタイムリミットは、2020年6月11日までに開幕局が行われるタイトル戦となるが、それに間に合う可能性があるのは今年の10月に番勝負が始まる竜王戦、来年1月の王将戦、4月の叡王戦、6月の棋聖戦である(ただし、棋聖戦の開幕局が6月11日までに行われた場合。今年は6月4日に第1局が行われ、ここ10年以内では2011年の6月11日を除くと、すべて6月上旬に第1局が指されている)。
リミットまで残されたチャンスはそう多くない
そしてタイトル獲得最年少のリミットは上記の棋戦に加えて、来年7月に始まる王位戦、9月の王座戦、10月の竜王戦となる。それほど残された数は多くない。
誕生日前日に行われた大阪王将杯王将戦2次予選では、公式戦では初対戦となったA級棋士・佐藤康光九段を破り、初の「挑戦者決定リーグ入り」まであと2勝と迫った。次戦では中村太地七段と対局する。
そして、本日から4日後の7月23日には、関西将棋会館で竜王戦決勝トーナメントの豊島将之名人―藤井聡太七段戦が行われる。勝者がベスト4入りを果たす一局だ。藤井は豊島名人を破っても、準決勝で渡辺明三冠戦、そして挑戦者決定三番勝負が控えているため、挑戦そして奪取への道のりはまだ長いが、まずはこの大一番に注目したい。