「どうやったら初段になれるの?」

 将棋を指す初心者ならば、誰しも「段」という言葉の響きにあこがれを感じたことがあるのではないだろうか。

将棋「初段になれるかな」会議』(扶桑社新書/以下『初段会議』)は、高野秀行六段を指南役に、初段に届かない棋力のライターである私と漫画家のさくらはな。さんが聞き手となって、あまた質問した内容を書籍化したもの。

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詰みがわからない状態で詰ませに行くのはリスクが高い

 棋譜をなるべく使わなかったことや、対話形式にしたこと。また、本当に級位者にとって必要な内容だけに絞ったこともあって、多くの級位者のみなさんから「こんな本を待っていた」という声をいただいた。

◆ ◆ ◆

高野 詰みがわからない状態で詰ませに行くのはリスクが高い。また自分の玉が次に詰むような状態でなければ、詰ます必要もありません。ここで基本に戻りたい。

さくら といいますと?

高野 詰みの基本の頭金でしたよね。ならば5二飛成として、次に3二金を目指す感覚を大切にしたいんです。

さくら つまり自信のない詰みよりは、自信のある「詰めろ」の形を作ると……。

(『初段会議』P57より)

◆ ◆ ◆

 この〈自信のない「詰み」より「詰めろ」〉という考えなど、級位者の方にとって大変有益な考えだと感じていただけるのではないだろうか(「詰めろ」とは、相手が何もしなければ次の一手で「王手」をかけて詰ますことができる状態を指す)。

1998年にプロデビューした棋士の高野秀行六段

 そんな『初段会議』の中に〈藤井聡太の将棋は級位者が真似ないほうがいい〉という一節がある。史上5人目の中学生棋士としてデビューすると、たちまち29連勝。将棋ファンにとっては憧れの存在である藤井七段だが、なぜ真似してはいけないのだろうか? この点について『初段会議』の番外編として、高野六段に聞いてみた。