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初段を目指す人が「藤井聡太の将棋を真似ないほうがいい」理由とは

高野秀行六段に聞いてみた――『将棋「初段になれるかな」会議』番外編

2019/02/08

級位者にオススメの棋士とは?

岡部 逆に級位者にぜひ真似して欲しい棋士の先生もいるんですよね。

高野 はい。その一人が、鈴木大介九段です。局面3図をご覧ください。これは2017年に行われた棋聖戦の鈴木大介九段(先手)対飯島栄治七段(後手)の一戦ですが、とても安心する序盤の局面ですね(笑)。

(局面3図)2017年11月11日棋聖戦予選 鈴木ー飯島戦 ▲5七銀まで

岡部 攻めの駒組みが歩、銀、大駒、桂の順番になっていますね。

高野 そして自陣が攻めと守りにしっかり分かれています。

岡部 攻めの主軸となる飛車と王様は、分けたほうがいいんですよね。飛車がいるところで戦いが起こりやすいから、そこから王様を遠ざけると。

高野 そして玉は金2枚と銀1枚で守る。

岡部 「玉の守りは金銀3枚」ですね。

高野 こういった級位者の方にまず覚えてもらいたい序盤のセオリーがすべて現れています。また、後手の居飛車側に穴熊を組ませてますよね。振り飛車は、相手に固く組まれては分が悪いという考えがあり、それに対応して早く攻めるケースも多い。しかし鈴木大介九段は、このように相手に組ませてしまう戦いでもA級八段にまでなりました。つまり戦術における優劣はないんです。

 

棋譜並べによってプロの技を再現することができる

岡部 要するに慌てず騒がず、まず玉を囲って、攻めと守りをわけるという基本を押さえて戦いたいということですね。この鈴木大介さん以外に、級位者のお手本になる棋士には、どなたがいますか?

高野 振り飛車党なら、戸辺誠七段。居飛車党なら飯塚祐紀七段、村山慈明七段がオススメですね。級位者の方には、こういった棋士の棋譜を並べてもらいたいですね。

岡部 棋譜並べは、ちょっと難しい印象をもつ級位者も多いと思います。

高野 たしかに正確に並べるのは、少し難しいかもしれません。ただ、勉強というよりも楽しむ感覚で気軽に取り組んでもらいたいですね。野球でもサッカーでも、プロの技を真似することはとても難しい。しかし将棋は、棋譜並べによってプロの技を自分で再現することができるんですから。