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 中立性に欠けるとはいえ、真実味もある。丁寧に描かれる告発者家族の崩壊のさまには説得力がある。

 オーストラリアのロブソン一家は、幼いウェイドがマイケルに気に入られたことをきっかけに母親が息子の芸能キャリアに執着しはじめ、家族仲を悪化させる。母は子どもを連れてアメリカへ移住、取り残された父親は元より抱えていた精神的問題を悪化させ自殺に至った。作中、家族はつらい思い出を涙ながらに回想する。マイケルが巧みに家族を操った旨も語られるが、その真偽がどうあれ、一家が大きな傷を負ったことは事実だろう。

サンタバーバラ郡高等裁判所に出廷するマイケル・ジャクソン氏(2005年) ©Getty Images

各社が自粛ムードの中で、明らかになったミス

 アメリカでドキュメンタリーが話題になった2019年3月、ルイ・ヴィトンや人気アニメ『ザ・シンプソンズ』がマイケル関連のアイテムやエピソードの封印を発表した。当時は、スターバックスの店内BGMプレイリストにマイケルの楽曲が入っているだけでクレームが殺到し削除に導かれるほどの騒ぎだったのである。

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 しかし、同月末、ドキュメンタリーに致命的なミスが見つかる。作中「おそろしい虐待現場」のうちのひとつとされたネバーランド駅は、当時建設すらされていなかった事実が判明したのだ。現実の時系列に照らし合わせると、虐待があったとされる時期が最低2年ズレる。この誤認のみで「冤罪確定」というわけではないが、少なくとも、告発者の主張は矛盾をきたす。『ネバーランドにさよならを』は、告発者たちにとっても影響の大きい事柄を扱ったにもかかわらず、事実確認が不十分なドキュメンタリーだった。

『ネバーランドにさようならを』監督のダン・リード氏 ©Getty Images

 あらたな告発のようなものも出てきた。「マイケルの友人の元少年」としてドキュメンタリーを批判していたアーロン・カーターが、出演する番組の宣伝において以下のように語り出したのである。

「僕の知るかぎり、マイケルはとても良い人だった。不適切な行為はなかったよ。1度をのぞいて。1回だけ、少し不適切なことがあった……」

 のちにアーロンは「不適切イコール性的なことではない」と弁明した。元々、密室、および過去の虐待容疑の立証と反証は難しい。疑惑はつづいていくだろう。

公開から2ヶ月後に話題になった楽曲

 放送から2ヶ月経ったある日、アメリカではある楽曲が話題になった。歌詞の内容をわかりやすくまとめるとこうなる。