「友達は1人もいません」
弁護人:(佐竹被告自身の)中学受験勉強はいつくらいから始めましたか?
佐竹被告:4年生くらいからです。
弁護人:中学受験勉強のために諦めたことはありませんでしたか?
佐竹被告:野球部に入れなかったこと、友達と遊べなかったこと、見たいテレビを見られなかったことなどです。
弁護人:中学校に入って野球部に入りましたね。
佐竹被告:1学期の中間試験の結果がめちゃくちゃ悪くて、すぐやめさせられました。
弁護人:すごく野球をしたかったのですよね。
佐竹被告:中学に入ったら野球ができると思っていたから中学受験勉強を頑張った面はあります。
弁護人:それからあなたはどうしましたか?
佐竹被告:勉強をぜんぜんする気がなくなって、ぶらぶらするようになりました。
弁護人:高校時代、将来の夢はありましたか?
佐竹被告:ありませんでした。
弁護人:高校の友達で大学に進学しなかったひとはほかにもいましたか?
佐竹被告:いなかったと思います。
弁護人:卒業後の進路について、両親と話し合ったことはありましたか?
佐竹被告:ありませんでした。
弁護人:高校卒業後はどうしようと思っていたのですか?
佐竹被告:とにかく家を出たいと思っていました。
弁護人:そのためには親からの金銭的な支援を受けなければいけませんよね。そのことへの抵抗はありませんでしたか?
佐竹被告:あったけど、とりあえず家を出たかった。
弁護人:アルバイトは楽しかったですか?
佐竹被告:はい。草野球チームをつくったり、ビリヤードに行ったり、ボーリングに行ったり、海に行ったりしました。そのことはよく思い出します。
弁護人:いまでも付き合っている友達はいますか?
佐竹被告:いません。
弁護人:職場でMさんと知り合い、結婚しましたね。自分の家のことは話しましたか?
佐竹被告:話していませんでした。聞かれていないから。過去は過去。いまがあるならいいと思っていました。
弁護人:結婚して良かったですか? 結婚生活は楽しかったですか?
佐竹被告:崚太が小さいころは、普通の母親以上のことをしてくれました。受験が始まるまでは、楽しかった。
弁護人:自分が“負け組”だと思ったことはありますか?
佐竹被告:ありません。
弁護人:誰かから“負け組”と言われたことはありますか?
佐竹被告:オヤジに言われたことがあります。
弁護人:そのときどう思いましたか?
佐竹被告:自分の生活レベルは自分の生活レベルでいいと思いました。
弁護人:崚太君には自分のようにはなってほしくないと思っていましたか?
佐竹被告:自分のやりたいことをやってほしいと思っていました。
弁護人:崚太君には大学に行ってほしいと思っていましたか?
佐竹被告:崚太次第です。
弁護人:なぜ崚太君にはT中学校を受けさせようとしたのですか?
佐竹被告:崚太がT中学校に行きたいと言ったからです。
弁護人:現在友達はいますか?
佐竹被告:以前は年賀状をくれる友達が1人だけいましたが、事件の2年くらい前から、友達は1人もいません。