誰もが自動車のサブスクを活用する時代が来る
サブスクは、両者の好いとこどりを狙ったサービスと言えます。サブスクであれば、頭金や初期費用はかかりませんし、月々の定額料金には、保険料や税金、車検、メンテナンス費用などが含まれるため、生活の見通しが立て易くなります。また、店舗にわざわざ出向く必要もなく、申し込みはオンラインで簡単にできます。さらに、契約期間中には、複数の車を乗り換えることができ、走行距離制限も事業者によっては設けられていないので、自由度が高いと言えます。
ウーバーが自動車業界に持ち込んだカーシェアやライドシェアの事業モデルに加え、所有から利用という消費行動の変化も、既存の自動車メーカーにビジネスモデルの見直しを迫るものでした。自動車業界にも新たな変革の波が次々と押し寄せてきているのです。
元来、自動車業界では、メーカーごとに開発、購買、製造、販売までの一連の機能を備えた長いバリューチェーンを持っていました。とりわけ、生産技術の高度化やコスト削減が利く購買や製造部門に強みがありましたが、系列やハード依存の収益構造には限界があり、これまでのビジネスモデルは通用しなくなりつつあります。消費行動の変化に加え、自動車業界の競争環境もまた変化しているのです。
自動車業界でのサブスク導入の動きは、付加価値の高い競争領域が、これまでの購買や製造部門から利用に関わるサービス部門へとシフトしていることを示すものです。既に世界の多くのテクノロジー企業やスタートアップが、将来の自動運転車を見据えて参入していますが、こうした付加価値の高い領域を狙って、継続的な収益を獲得する動きは今後益々激化することが予想されます。将来的に、AIによる自動運転車が当たり前の時代になれば、誰もが自動車を所有せずに、シェアリング・サービスとしてサブスクを活用することになるでしょう。