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日本製品不買、LCC運休……韓国在住記者が見た「対韓輸出規制」のリアル

2019/07/26
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 いずれにしても、日本の今回の輸出規制強化は、韓国経済を揺さぶった。サムスン電子の李在鎔副会長は日本の発表を受けてすぐに日本に飛んだが、企業であるからには生き抜くためにどんな策でも練りぬくだろう。日本がだめなら、別の国から調達するにしろ、韓国内で国産化するにしろ、時間はかかっても日本離れが進むかもしれない。

8カ月もの間、立場を明らかにしなかった韓国の不可解な対応

 今の日韓関係は「戦後最悪」ともいわれる。日韓関係においてはこれまでも何度も最悪という言葉が使われてきたが、今までとは少し様相が異なっているようにも思う。

 今回の日韓の葛藤は、徴用工問題を巡り韓国が8カ月もの間、立場を明らかにしないという不可解な姿をとったことで韓国の中の日本の存在感の低さが露わになったことから膨らんだ。この葛藤は1965年の日韓基本条約で、曖昧にして、眠らせていた「日本の植民地が合法か否か」を巡る論争が本格的に頭をもたげるような、ターニングポイントになるかもしれない。 

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 それにしても、実に久しぶりに韓国で日本が“ 注目”を浴びた感が。

 日本の思惑がそこにあったとするならば成功したのかもしれないが、なんとも後味の悪いやり方だ。「日本に旅行に行っても大丈夫」などと訊かれるようなことは早く過ぎてほしいのだが。

日本製品不買、LCC運休……韓国在住記者が見た「対韓輸出規制」のリアル

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