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「絶対に笑ってはいけない吉本興業24時」など大企業不祥事に見る時代の節目

反社会的勢力をどうやって見分けるのか

2019/07/26
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グレーだらけの世の中で

 いまでこそ、気軽に反社会的勢力と言うものの、ではその人たちは誰なのかと言われても、実際には誰も教えてはくれません。企業法務でもファンド運営、不動産や証券でも、いわゆる半グレなど反社会的勢力に関連しそうな人たちのリストを作って業界全体で監視をしているのは事実なんですが、彼らが実際に不動産を借りにきたときに「あなたがたは反社会的勢力なので貸せません」と言ったら名誉毀損やら何やらで問題になってしまいます。

闇社会を長年取材をしてきた私が「吉本興業騒動」を笑えない理由
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66090

 他ならぬ「フライデー」を出している講談社がやっている「現代ビジネス」で、ジャーナリストの伊藤博敏さんが正面から「反社会的勢力の認定はむつかしい」と書いていますが、しかもその記事の最後のほうにまさに私が直面している問題までご丁寧に解説されておりましたが(ありがとうございます、正確です)、いまや暴力団が暴力団を名乗らなくなり誰がクロなのかが判然としない時代に差し掛かっていると言えます。

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クリーンな芸能界を実現できるのか

 そんな中で、大崎さんがこれからの時代の芸能事務所をどうするつもりなのかは、物凄く大きい問題だと思うんですよね。なんせ「うちは絶対シロです」「これからは問題を二度と起こしません」と言い切ることはむつかしい。大崎会長、岡本社長が並んで記者会見して「安全宣言!」と言った後で「実はこんなクロいの、ありまっせ」と報じられたら、本当に会社が潰れるしかなくなるじゃないですか。

©文藝春秋

 動揺した吉本のタレントを引き抜きにかかっている芸能事務所のほうが黒かったりとか、吉本の醜聞を流したメディア自体が反社会的勢力にカネを払ってそのネタで記事を書いたとか、さまざまな情報戦が繰り広げられているのも、結局は「誰が反社会的勢力なんだかよく分からない」という点が大きいのだと思います。

 そして、そういう疑わしいものも全部排除してクリーンな芸能界を求めているのが日本社会なのだとしたら、一刻も早くそういう綺麗な世界を実現していかないといけないんですよね。本当にそういうクリーンな社会が面白いのかは別としても。

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「絶対に笑ってはいけない吉本興業24時」など大企業不祥事に見る時代の節目

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