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叱らない! 教えない! でも子どもは育つ。大切なのは「ふざけ」「いたずら」「ずる」「脱線」――2019上半期BEST5

叱らない! 教えない! でも子どもは育つ。大切なのは「ふざけ」「いたずら」「ずる」「脱線」――2019上半期BEST5

超進学校の『奇跡の教室』とは

note

大人がイラッとするのは、そこに自分自身の弱さがあるから

 そう考えると、わが子を思う親がつい子どもを追いつめてしまうのも仕方がないとわかる。要するに、親としての自信がないのだ。当然だ。ほとんどの親が、親として新米のまま親の役割を終えていくのだから。だからといって自分の怒りを正当化してはいけないと、イモニイは言う。

「自分がイラッとしてしまうということは、そこに自分の中にもある弱さを見いだしているはずなんです。だからイラッとしてしまうんです。その子の中にある未熟な部分、弱い部分を認めてあげることは、結局は自分自身の中にも同じくある未熟な部分、弱い部分を認めてあげることになるんです。だから僕は、『子どもたちのことを承認する』なんて言っていますが、実は、子どもたちを通して自分自身を解放させてもらっているんだと思うんです」

 要するに「情けは人のためならず」である。教師自身が解放されないうわべだけの「承認」ではダメだという意味でもある。

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「世の中にはきっといろんな子がいて、僕なんかではまだ受け入れられない子もいると思うんだけど、そういう子を見ても、『本当にかわいいな、最高だな』って心から思えるようになりたい。いろいろな子どもと出会いたい」

 まず大人自身が自分の“弱さ”を認めることができれば、子どもの“ダメ”なところにいちいちイライラしなくてすむようになる。逆に言えば、子供の未熟さにイライラしてしまうということは、大人自身が自分の未熟な部分を直視できていないということ。自分の未熟さを棚に上げて子供にだけそれを直させようと考えるのは、少々虫が良すぎるというわけだ。

いま、ここで輝く。 ~超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室

独創的な授業で子供たちのやる気を引き出す名物先生の、笑いと涙のルポルタージュ! 

おおたとしまさ

エッセンシャル出版社

2019年5月14日 発売

2019年上半期 いいね!部門 BEST5

1位:世界遺産のために猫を殺すのか――奄美大島「猫3000匹殺処分計画」の波紋 #1
https://bunshun.jp/articles/-/13239

2位:校則がないからこそ、教師と生徒は対等に話し合うことができる――西郷孝彦校長インタビュー
https://bunshun.jp/articles/-/13238

3位:富士通などのSIerの惨状を見ていると、太平洋戦争で負けた大日本帝国を思い出す
https://bunshun.jp/articles/-/13237

4位:叱らない!教えない!でも子どもは育つ。大切なのは「ふざけ」「いたずら」「ずる」「脱線」
https://bunshun.jp/articles/-/13236

5位:「役に立たない学問」を学んでしまった人文系“ワープア博士”を救うには……?
https://bunshun.jp/articles/-/13235

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