“芸術表現”という大義名分の下で
犬を擬人化した作品だが、日本軍の暴行を想起させる狙いは明白だ。さらに念を押すように漫画の下の注釈にはこう書かれている。
《何万、何十万もの若い女性が日本部隊によって連行され、“慰安婦”つまり、性奴隷(esclaves sexuelles)として働かされた。彼女たちの権利と尊厳は容赦なく奪われた。この戦争における罪を反省し、被害者への真摯な謝罪を拒否する限り、日本に対する怒りは鎮まることはない》
これこそ芸術と歴史問題をすり替えた政治的プロパガンダに他ならない。
だが、こうした誹謗中傷をただ座視しているわけにもいかない。実際問題、フランスでは“芸術表現”という大義名分の下、一定の理解を得ているからだ。
反日宣伝を先導する「若き女性閣僚」
漫画祭の担当弁護士ルノー・マルティニ氏によれば、「祭典の原則は文化的かつ非政治的であること」。韓国の出品作はこれを逸脱しているように見えるが、
「あの企画展は韓国の作家が表現する場です。それぞれの国のアーティストにはそれぞれの国の固有のテーマがある。ピカソはナチスによる爆撃の悲劇を描いたし、アルメニア人はトルコによる虐殺についての漫画を描くでしょう」(同前)
他にも現地では「全てが写実ではないかもしれないが、真実はこの中にある」(25・スウェーデン人・美術学校学生)、「政治的意図はあるだろうが本当の話だと思う」(28・フランス人・ネット関連)といった意見も多かった。若い世代はもう“洗脳”されているのだ。作家の佐藤優氏が分析する。
「この数年、韓国が文化領域にまで幅を広げて慰安婦問題広報の根回しを行ってきたことに一定の成果が出ていると認めざるを得ません。日本もこれまでのように一方的にこちらの立場を主張するだけでは広報にならない。諜報的手法など、今のところ水面下の工作では韓国に一日の長がある」