地下アイドルのライブにも参戦!
――今回のドラマは「地下アイドル」がテーマですが、脚本の執筆にあたって取材などはされたんでしょうか?
森下 はい。もともと地下アイドルについてはほとんど知識がなかったので、そこは取材しなければ、と。たとえば、NHKは『ねほりんぱほりん』(Eテレ)という番組で「地下アイドル」や「トップオタ」がテーマの回を放送していたんですが、それを参考にさせてもらったり、その時のスタッフさんにも追加で話を聞いたり。あとは、今回は監修に姫乃たまさんという、元地下アイドルの方が入っているんです。すごく頭の良い方なんですが、彼女にも話を聞いたりしました。もちろん私だけじゃなく、スタッフさんもかなり取材してくれて。
――実際に地下アイドルのライブにも足を運ばれたんでしょうか?
森下 何度か行きました。ただ、そのグループのファンではないので、ただただ足が痛くて(笑)。
――立ちっぱなしで(笑)。
森下 一方でファンの方たちは、私よりも年上の人もいらっしゃったんですが、みなさんすごく楽しんでいて。ライブが終わったら並んで“推し”と写真を撮って、仲間とワイワイ喋って、という。なるほど、愛があれば疲れないんだ、と思いました。女性ファンもたくさんいましたね。
女性が女性を“推す”ということ
――そもそも今回のドラマで「女ヲタ」を描くことにしたのはなぜなんでしょうか?
森下 このドラマの企画を立てたプロデューサーが20代の女性で、彼女もアイドル好きなんです。それで、いまは女の子のファンも多いですよ、ということで。
――主人公の愛は、ハナを「分身」「もう1人の自分」と表現しています。ファンとアイドル、この2人を同性同士にすることで、恋愛感情とは違う“推し”のあり方を描こうとされているように感じました。
森下 女の子が女の子に憧れる、というのは、わりと普通にあることだと思うんです。たとえば安室ちゃんに憧れるとか、浜崎あゆみさんに憧れるとか、今だったら乃木坂46の白石麻衣さんとか西野七瀬さんとか。もっと小さい子だったらプリキュアが人気ですよね。圧倒的なかわいさであり、圧倒的なカリスマ性であり……。
――キラキラしたものに憧れる。
森下 憧れ方には色々あると思います。「自分が持っていないものを彼女は持っている」という憧れや、同性の場合は「ああいう風になりたい」という憧れも強いのではないでしょうか。色々真似したり、参考にしたり。ただ、自分と対象は似ている場合も真逆の場合もあって、その辺はケースバイケースかな、と。
「私が推さなきゃ」という育てゲーの要素も
――愛がハナにはまっていくのも、そうした憧れがあるということでしょうか?
森下 地下アイドルを応援する気持ちというのは、そこにプラスして「私が推さなきゃ」という育てゲーのようなところもあるのかなぁ、と思います。とはいえ、これはなにも女の子同士に限った話ではないかもしれないですね。
――そうした心理的な距離感の近さが地下アイドルの特徴だと思うのですが、第2回ではその危うさにも正面から踏み込まれています。特にストーカーについては現実でも大きな問題になっていますが、こうした部分を描く際にはどんなことを意識されたんでしょうか?