「株、上がれ!」は滑っていたが……
では、日本の指導者が、日本語でごく自然にジョークを飛ばすのはまったく無理なのかといえば、そういうわけでもないだろう。そこで私が思い出すのは、ちょうど20年前に首相を務めていた小渕恵三だ。1998年に首相となった小渕は、就任直後に視察先の青果店に並んでいたカブを両手に握り、「株、上がれ!」と叫んだことがいまも記憶に残る。ギャグとしてはあきらかに滑っていたとはいえ、そのパフォーマンスには、「人柄の小渕」と呼ばれたキャラクター
小渕は翌年、1999年には、「ブッチホン」の語(小渕が、雑誌で自分について言及した人やメールをくれた一般人に
“やさしい”小渕のあからさまな「リベンジ」
スピーチで小渕が口にした「中曽根(康弘)、福田(赳夫)総理」とは、同じ
記者:これまで、鈍牛、猛牛、闘牛と変じたが、総裁選が終わり、今度は何牛になりますか。
首相:今度は「ジュウギュウ」だ。
記者:ジュウギュウ?
首相:やさしい牛だ。やさしい牛。「柔牛」でいく。(※2)
一見するとおとなしそうな人柄から「鈍牛」とも呼ばれた小渕だが
ともあれ、小渕の首相在任中、新聞各紙の政治面に掲載される首相の一日の動向を伝える欄では、毎日のように上記のような記者との一問一答がとりあげられ、名フレーズ・迷フレーズもたびたび飛び出した。これについては爆笑問題の太田光が、当時、テレビでよくネタにしていたのを思い出す。