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主題歌のヒットとドラマのヒットは比例している

 かつて、KinKi Kidsの「愛されるより 愛したい」と「僕らの勇気 未満都市」のドラマのマッチングは傑作だったし、主人公と主題歌もハマればドラマの盛り上がりを増幅させる。もともと、月9全盛期などは、「東京ラブストーリー」の小田和正、「ロングバケーション」の久保田利伸など、ここぞというところに主題歌がかかって盛り上げるテクニックの極地で、主題歌の力はドラマのヒットにかなり寄与していた。いまも、米津玄師やback number、あいみょん、Superfly、椎名林檎に宇多田ヒカルに中島みゆきなどなど、この人のこの歌がかかると問答無用にドラマが盛り上がるというアーティストは多くいる。

ロングバケーション DVDジャケット Amazonより

 とはいえ、最近は音楽業界も景気が悪い。ミュージシャンとのタイアップ作戦よりも、出演俳優の人気にあやかる作戦——要するにジャニーズものと同じ戦略にシフトせざるを得なくなっているのではないか。それが主題歌男子である。ジャニーズの専売特許のようなところもあったが、今後はますます主演と主題歌、オールインワン体制が増加してくる可能性はある。

これからの俳優は「歌えないといけない」のか

 ……となると大変なのは、俳優は歌も歌えないといけなくなるということ。ビジネス業界で推奨される、副業、小商いの波はドラマにも来ていて、余計なお世話だがご苦労しのびない。

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 その点、三浦春馬は、ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」で歌唱力の高さを誇っていたので、「Fight for your heart」にも安心感がある。田中圭も高橋一生も極めて器用であるし、俳優だから情感がこもっているところが良い。ほかに、歌えて演じられる人物としては、もともと音楽活動もやっていた小池徹平がいる。彼もミュージカルにも出ていてその歌はハンパない。ほかに注目は中村倫也。中村もミュージカルに主演もしているうえ、「アラジン」の主題歌をテレビの歌番組などで披露している。舞台「クラッシャー女中」では帝劇(ミュージカル)を意識してという演出家の指示に従って(公演パンフレットより)朗々と歌っていた。最近の人気の高さから、ドラマ出演と歌の組み合わせが誕生しないとも限らない。

中村倫也 ©文藝春秋

 ほかに山田孝之がうまい。竹内涼真も主題歌男子予備軍だ。ほかにもまだまだ主題歌男子候補はたくさんいそう。でも実はうまいということが大事なのではなく、求められているのは、“意外”と歌がうまいというサプライズ感であろうか。