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ギスギスした日本と、赤ちゃん連れがヒーローな海外

 最近、そういう育児に冷たい日本、というコラムが増えてきました。例えば、研究者の中川まろみさんはオーストラリアやアメリカなどの子育て事情と日本を比較して、どうにもやりづらい子育ての環境について論じています。

子育てがつらい国、日本。皆を苦しめるその「空気」の正体
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66404

 また、経営コンサルタントの本荘修二さんは母親の立場がいまなお顧みられず、ある種の安い労働力として家事を任されている現状を憂えておられます。わかるわー。

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日本の産後は異常事態 ママたちを苦しめる「暗黙の了解」
https://forbesjapan.com/articles/detail/29102

 しまいには、「泣いてもいいんだよステッカー」なるものまで出てきてしまいました。赤ちゃんなんて、泣いて、育つのが仕事のようなもので、そこで「泣いてもいいんだよ」っていちいち宣言しなければならないなんて残念な気もするんですけど、そのぐらい周囲が子育てママに支援する気持ちを表明してあげないといけない世の中になったのだ、と思うと「そこまで来てしまったか」という気持ちはあります。

赤ちゃん「泣いてもいいよ」ステッカー広がる 親のマナーに苦言も
https://www.sankei.com/premium/news/190811/prm1908110011-n1.html

 夏休みは、仕事や納税の都合もあり、アレルギーを持つ三男や生まれたての長女の移動に問題なさそうな場所を選んで家族旅行を組み込んだりしていたのですが、海外にちょっと行くと赤ちゃん連れはヒーローなわけですよ。

 いかついイミグレの親父が私を睨みつけた後で赤ちゃんがいることを知ると「おお、赤ちゃん。ようこそアメリカへ」とかさっきまでのコワモテのひげ面はどこに消えたんだと思うようなかわいい笑顔を長女に向け、飲食店に行くとフィリピンから来たという女性店員がベビーカーの周りに集まってきて「ハーーイ、ベイビーーー」とか可愛がってくれます。何というか、日本の都市部のギスギスした雰囲気とは、明らかに赤ちゃんを取り巻く環境が根本から違う。

©iStock.com

 ロシアでも、香港でも、イスラエルでも、子育てのしやすい、しにくいというレベルとは違う意味で、なんか「赤ちゃんが歓迎されている」とか「子どもを尊重しようとしている」空気はちゃんとあるんですよね。

 逆に言えば、私のようなアロハシャツを着た白髪の中年男性はどこに行ってもトルコ人に間違われ、入国審査では「なぜ中東ヅラの人間が日本のパスポートを持って我が国に?」とか問われることになりムカつくわけですが。

わざわざおっさんが文句を言いに来る

 翻って、日本においても北海道やら東北北陸とか旅していると、列車や食堂で出会う見知らぬ女性が赤ちゃんを見て「かわいい」とか声をかけてくれるんです。もちろん、赤ちゃんに優しい声をかけてくれる男性もいて、ありがたいはありがたいのですが、列車の中で酒を飲まないで欲しいということ以外は、なんかこう日本も決して子どもが嫌いだというほどでもないのかなとは思うんですよね。

©iStock.com

 ただ、これが名古屋や大阪などの大きい都市に行くと、俄然ベビーカーや赤ちゃんに対する風当たりはつよくなります。