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チベット仏教僧院でアイテム拾い

 定刻より1時間弱遅れた朝7時14分、列車はハイラル駅へ到着。駅を出てタクシー運転手に「草原でパオ(遊牧民族の移動式住居)に泊まりたいんだけど、良いところ知ってる?」と聞くと、「もちろん。タクシーは2日間貸切、ハイラル周辺の観光地巡りも含めて500元(7,522円)でどう?」と言う。悪くない金額なので交渉成立とした。

 最初に到着したのは、達爾吉林寺というチベット仏教僧院。白く巨大な菩提塔の中には10万体の仏像が納められているそうだ。この塔が灰色で足が生えたら『ガーディアン』っぽいと感じるゼルダ脳には困ったもんだ。

真っ白な塔が青空に映える菩提塔。

 お寺を一通り回ると、タクシー運転手が寺の裏手にある草むらを指さし「あっちにいいものがあるから行こう」と笑顔で言う。ついて行くと、そこには仏像や経典が山ほど捨ててあった。タクシー運転手は「好きなだけ持っていくといいよ!」と言いながら自分の手土産を確保し始めた。

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草むらに捨ててある仏像。土地なら余るほどあるせいか、捨て方が豪快。

 確かにBotWでは草むらにアイテムが転がってるけど、そこは忠実に再現しなくていいんですよ? キノコならともかく、仏像なんて拾ったら罰が当たりそうで怖いじゃないか。

ハイラル王国は、中国のハイラルにあったんだ!

 手土産に満足したタクシー運転手がほっくほくの笑顔で次に連れて行ってくれたのは、本日宿泊するパオ風ホテル。門をくぐって小高い丘を登ると、見渡す限りの大草原が突如視界に飛び込んできた。
 

ドーンと広がるフルンボイル大草原。奥にいる白い点は羊の群れ。臭みのない羊肉水煮が美味しい。

 ゲーム画面に入り込んだかのような感覚に陥るほどのハイラル王国感。1986年発売の1作目『ゼルダの伝説』以来、子供の頃から幾度となくテレビ越しに見続けたハイラル王国は、日本から案外近くにあったんだ。BotWの映像美で目を奪われたあの草原は、本物であればなおさら美しさが増し、いつまでも見ていられる。

 と思っていたのもつかの間。大型ツアーバスが数台現れ、中からオバチャン達が大量に出てきた。それぞれ手には派手なストールを持っている。あぁ、中国のオバチャン恒例のアレを始める気ですね……。

 派手なストールを振り回し仙女のようにはためかせ、キメキメのポーズで写真を撮り始めた。撮影大会の始まりである。ストール仙女持ちは、中国全土で見られるオバチャンの流行りだ。どこを向いても仙女ごっこに躍起になる面白いオバチャン達が視界に入ってきて、ハイラル王国から現実世界に一気に引き戻される。撮影大会が始まると1時間は終わらないので、チェックインを済ませてパオに入室した。