「先日、NHKの番組に出演したら、スタッフの方が『視聴率が良かった』と喜んでいました。『なんと、「チコちゃんに叱られる!」に勝ったんですよ!』と。お城はチコちゃんより数字が取れるんです(笑)」

 こう語るのは、大の城好きとして知られる噺家の春風亭昇太氏(59)だ。

 いま、巷では空前の城ブームが巻き起こっている。実際に足を運ぶ人も大勢いるようで、公益財団法人日本城郭協会が監修する「日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき」は累計70万部を超える大ベストセラーとなっている。

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春風亭昇太さん ©文藝春秋

徳川慶喜の江戸退却は「幕府史上最大のミス」

 日本にはかつて3~4万もの城があったとされるが、姫路城や大坂城など壮大な天守を持つ有名な城郭だけでなく、地方にひっそりと佇む山城の遺構もいまだに数多く残っている。その中でも、数多の合戦を戦い抜いた「難攻不落の名城」は一体どこなのか。

 現在発売中の「文藝春秋」9月号では、そんな昇太氏に加えて静岡大学名誉教授の小和田哲男氏と城郭ライターの萩原さちこ氏に集まってもらい、座談会を実施。城好きによる城好きのためのアツい議論が交わされた。

昇太 誰もが納得するのはやはり大坂城でしょうか。江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜は鳥羽・伏見の戦いで新政府軍に攻められるや、大坂城を放棄して江戸に退却しました。あの壮大な縄張りを目の当たりにすると、慶喜が籠城していたら落城させられなかったと思いますよ。僕は江戸幕府史上最大のミスだと思っているんです。

大坂城(大阪城) ©iStock.com

小和田 大坂城も素晴らしいですが、私のイチオシは熊本城です。西南戦争では政府軍が立てこもり、西郷隆盛の猛攻を受けましたが、ついに落城しませんでした。

熊本城 ©iStock.com

 さらに、城マニアだからこそ知る、一般の人には馴染みのない意外な城の名前も。