『東大教授がおしえる やばい日本史』 (本郷和人 監修)

 わびを知る「すごい」俳人であった松尾芭蕉は、一方、大の武将おたくで、死後は好きな武将の墓の隣に埋めてほしいと言い遺す「やばい」人でもあった。そんな偉人たちの「すごい」面と「やばい」面を愛情たっぷりに紹介した、ユニークな児童書が好調だ。

「私はもともと日本史がとても苦手で、その原因を掘り下げたところ、教科書に書かれているのが『すごい』ことばかりを繋いだ歴史だからだと気がついたんです。そこで、歴史を生きた人たちの顔が見えるような『やばい』一面を取り上げることで、日本史学習のとっかかりになる本が作れないかと考えたんですね」(担当編集者の金井弓子さん)

 味のあるイラストや解説マンガにくわえ、「安土桃山時代」といった教科書的な時代区分ではなく、「天皇の時代」から「庶民の時代」まで、権力の変遷を軸にした整理も卓抜だ。ただおもしろいだけではなく、奥深い日本史の流れをしっかりと掴むことができる。

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「お子さんたちの夏休みの読書需要を狙った本だったのですが、夏休み明けから売れ行きはむしろ加速しています。新聞広告や著者のメディア出演などを通じて、大人にリーチして伸びた印象です。読みやすさこそ重視しましたが、盛り込む情報は子供向けの手加減をしなかったからではないかと。日本史の入門書としてはもちろん、詳しい方にも興味深い本になったと自負しています」(金井さん)

2018年7月発売。初版1万部。現在6刷13万部

東大教授がおしえる やばい日本史

本郷和人(監修)

ダイヤモンド社
2018年7月12日 発売

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