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「日本のインテリジェンス」はなぜ世界から遅れを取るのか――「内調」の虚像と実像 #3

「日本のインテリジェンス」はなぜ世界から遅れを取るのか――「内調」の虚像と実像 #3

2019/09/03
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「情報感覚」は「時代感覚」をも研ぎ澄ます

 そういえば、最近政府関係者からこんな話を聞いた。

 1968年のチェコスロバキアでの民主化の動き、いわゆる「プラハの春」の際のことである。旧ソ連の軍事介入が秒読み段階に入った頃、果たして市民数千人が犠牲になり、25万近くの難民を生んだ、1956年のハンガリー動乱の二の舞になるのか――それが各国インテリジェンス機関の最大の関心時だったという。

1968年に起こったチェコスロバキアの変革運動「プラハの春」の跡が今も残っている ©iStock.com

 その時日本が入手した、チェコの事情通からのヒューミントは明快であった。「チェコはソ連に従う」と。元将校は、「第二次世界大戦から20年たち、国民は共産主義革命の限界を感じていた。そして国家より家族が大事だということに気づいた。だから、ソ連に従っても、その政府を国民は信じていない」と解説したという。そして1968年から20年後、東欧では、チェコで最初に民主革命が起きており、結局プラハの春では、7人の犠牲者しか出ていないという。

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 「情報感覚」は、「時代感覚」をも鋭く研ぎ澄ましてくれる。

「日本のインテリジェンス」はなぜ世界から遅れを取るのか――「内調」の虚像と実像 #3

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