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「これぐらいの活躍は当然」 高卒2年目の19歳、西武・平良海馬、大躍進の舞台裏

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/09/20
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「『あの一発で優勝が……』とならないように」

 その自立した向上心の証明として、上本達之ブルペン捕手が面白いエピソードを聞かせてくれた。

「普通に練習でキャッチボールをしている時に、カーブを投げた後、『スライダー行きます』と言って、『あ、やっぱりまっすぐいきます』と言い直してまっすぐを投げて、その後スライダーを投げたことがあって。終わった後、『なんで変えたの?』と聞いたら、『左打者の、インコースまっすぐを投げた後にスライダーを投げた方がいいかなぁと思って」と、勝手に打者を想定してやったりしている。仕草などを見ていても、何かを考えながらやっていることがわかる。高卒2年目で、そういう考えを持ちながらキャッチボールからやれている投手ってなかなかいないですし、だからこそ、今の急成長につながっているのだと思います」。

 最近、勝敗を左右する大事な場面や勝ちパターンを任される機会が増え、プレッシャーの中で投げられている喜びを実感しているという。「大事なところを任されて投げるのは好きです。それこそが、プロとして一番やるべきこと。そういう状況で投げないといけないと思っています」。

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 首位だったソフトバンクとゲーム差1で迎えた9月8日の楽天戦、平良投手は2−0と2点リードした6回2アウト、走者1塁の場面で登場し、直後に同点本塁打を浴びた。最終的にチームは勝利したが、その試合を、今でも戒めと受け止めている。「あそこでホームランを浴びたことで、より一層、自分が責任を背負って投げているのだと感じました。この先、もっともっと大切な試合になってくる。『あの一発で優勝が……』とならないように、しっかりと投げたい」。責任感も自覚も十分心得ている。

 豪快なピッチングと、まだ19歳らしい純粋な立ち居振る舞いとのギャップで、早くもライオンズファンに大人気となっている。「ピッチャー、平良海馬〜」とアナウンスされると、スタジアムはひときわ盛り上がる。「抑えたら盛り上がるし、抑えられなかったら責任を感じる。1つ1つの声援が本当に嬉しいんです。もっともっと良いピッチングがしたい」。

 試合展開も、球場の雰囲気も、今、最も流れの変えられる投手であると言っても過言ではない。これからの優勝争い、CS、日本シリーズ、鍵を握っているのは平良投手だろう。

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