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大切なのは<頼まない勇気>

 アジフライ丼、たしかにあった!

 しかしメニューにアジフライ丼を見つけたものの、重要なのはここからです。

 何しろ吉野家です。

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 牛丼が美味しいことは100%分かっている訳です。

 もう喉元まで「牛丼の並ひとつ!」という、いつものセリフが上がってきているのです。

 それを必死で堪える。

「ぎゅう……」とまで出てしまってる言葉を、なんとか飲み込む。

 そんな<頼まない勇気>が必要となる訳です。 

「ぎゅう……ア…アジフライ丼ください!」

「うまい・やすい・早くない」理由とは?

 そんな試練を乗り越えて、やっと注文したアジフライ丼(大した試練ではありませんが……)。

 ここでまた面白い現象が。

「うまい・やすい・早い」が売りの吉野家にして、注文を受けてから揚げるアジフライ丼は「うまい・やすい・早くない」のです。

 実はカフェ風の吉野家では、お客さんにゆっくり食事を楽しんでもらうのも重要な要素なので、あえて時間のかかるメニューも取り入れているんだとか。

 揚げたてが食べられるなら、お客さんにとっても嬉しい待ち時間です。

 ということで、フードコートなどで見かけるブザーを渡されてしばし待機。

 すると不思議なことに、待ってる間に、入店当初の「牛丼食べたい!」モードが和らいで、アジフライ丼が待ち遠しくなってくる。

 つまりこれは、いつもの牛丼モードからアジフライ丼モードへと、徐々に気持ちをスライドさせていくための、計算しつくされた待ち時間だったのです(多分、ただの揚げ時間ですが)。

ついにアジフライ丼登場!

 そしてついにやってきました、アジフライ丼!

これが吉野家のアジフライ丼。

 ご飯の上に、刻み海苔とキャベツやレタスなどのミックス野菜がひかれ、その上にかなり厚みのあるアジフライがどーんと鎮座、そして上からソース。

 牛丼王国の中で、肩身の狭い思いをしているかと思ったら、めちゃめちゃ堂々としてるじゃないですか、アジフライ!

 なんだか偉いぞ!