金曜ゴールデンタイムにラグビー「日本vs南アフリカ」。ワールドカップ(以下WC)日本大会を直後に控え、4年前に大金星をあげた相手とのテストマッチは最高のカードだ。

9月6日に行われた「リポビタンDチャレンジカップ2019 日本vs南アフリカ」 ©AFLO

 とにかくWCに向けてお茶の間を盛り上げねばならない!……ということで、新聞のテレビ欄には「舘ひろし、櫻井翔」の名前が。また芸能人頼みかよ。舘ひろしはラグビーファンとして有名だが、中継が始まる前にジャパンヘッドコーチのジェイミー・ジョセフとスタジオで談笑している。これがほぼ「頑張ってくださいよ」「頑張りますよ」の内容しかなく意味を感じられないでいるうちに選手入場の時が来る。薄暗いロッカールームでやけにきれいな円陣組んでる絵は、AKBがコンサート前に楽屋でやってる円陣を思い出す。昔はロッカールームは神聖な場で、大西ジャパンの頃(何十年前だよ)など水盃を交わしていたとか言ってたのに今はカメラ入れて、円陣の手前では誰かがスマホで撮ってるし(せめて一眼で……)。

 しかし時代は変わっているのだ。いい試合さえすれば、カメラ密着で誰かがベンチで過呼吸起こしてるのを撮ってそれが映画になったって構うものか。新たな「芸能人が割り込むスポーツ中継」の境地を切り開くのもアリだ。するとゲーム開始とともに、実況アナと解説者による硬派な中継に切り替わる。舘&櫻井はハーフタイム休憩に静かに出るのみ。

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 これはこれでホッとする。これが中継の本道だねやっぱり。初心者向けに、反則があるたび画面右下にCG人体による反則説明の絵が出る、それが反則を知ってる私でもさっぱり意味がわからない図で、途中からは絵をやめて文字テロップに切り替わったのは、視聴者から苦情電話でもあったのか。まあWCを前にやる気は感じられた。

 しかし、ジャパンの戦いぶりはしょっぱいものであった。司令塔の田村優が勝負所でことごとく判断ミスをしていては勝てん。解説もしおれていた。本番を前にしてチームの問題点をズバズバ指摘するわけにもいかないと思うのか、「惜しかった」「頑張ってます」とかジャパンにぬるいことを言って見る者のかゆいところに手が届かない。そして何より解説の大畑大介、声質としゃべり方が、基本的に意気が上がらないのでますます画面が薄暗く感じる。

 こんなことでは視聴率にも差し支えると、WC本番では有名人がテコ入れとして中継に出張ってくるんじゃないかと再び不安に襲われた。いや、元ラグビー協会名誉会長森喜朗がゲストに出てきたらどんななのか聞いてみたい気はするが。反則があったら実況アナ遮って「ロシアがオブストラクションだ!」とか言ってほしい(実際はイヤです)。

INFORMATION

『リポビタンDチャレンジカップ2019 日本vs南アフリカ』
日本テレビ系 9/6放送
http://www.ntv.co.jp/program/detail/21881310.html

『ラグビーワールドカップ2019 ジャパン』
https://www.ntv.co.jp/rugby2019/