はじめまして。いろいろ言われてますけれど『いだてん』、面白いですよ!
このほど『「いだてん」完全シナリオ集第1部』が発売されました。
第1部は日本人としてはじめてオリンピックに出場したマラソンの金栗四三(中村勘九郎)を軸に、1912年のストックホルムオリンピック、そして中止になった1916年ベルリンオリンピック、1920年のアントワープオリンピック、そして1924年パリの前年までが描かれます。
時間的には、1911年のマラソン予選会から、1923年の関東大震災後までの物語です。
軸となる主人公金栗はいながらも、各放送回とも裏主人公とも言うべき人物たちが現れ、名言連発だった『いだてん』第1部。ランキング形式になんてできない! 比較できないものばかりですので、今回は「忘れられない台詞」として個人的に印象に残る5つをご紹介します。
三島和歌子「おまんさぁは三島家ん誇りなんじゃから」
(「第8回 敵は幾万」より)
三島弥彦は大資産家の息子ということもあり、将来は国を背負うエリートとして教育を受けていますが、天は二物を与えるといいますか、スポーツエリートでもあったわけです。身長も高いし運動神経も抜群。日本初の運動サークルに入って大活躍をします。あんまり練習していない状態で飛び入り参加した予選会でも、100M、400M、800Mで優勝してしまうほどの力。
しかし、弥彦の母・和歌子はオリンピックなどまるで興味なし。むしろ帝王学をちゃんと学んでほしいと思っていて、弥彦の運動好きを好ましく思っていません。家でも、弥彦がオリンピックの「オ」の字も言えない険悪な雰囲気……。
それでも弥彦は金栗と二人で、ストックホルムオリンピックへと向かう決断をします。
だれしもがうらやむ境遇、そして祝福されて送り出されるのかと思いきや、三島家は一切応援しておらず、弥彦は後ろめたい気持ちで新橋の駅で鉄道に乗り込みます。
しかしそこに!あれだけ反対していたお母さんがなんと弥彦のために自作のユニフォームまで縫って、ギリギリでかけつけるのです。
弥彦「母上、弥彦は精一杯、戦ってきます!」
和歌子「当たり前じゃ、おまんさぁは三島家ん誇りなんじゃから」
和歌子、風呂敷包みを窓越しに渡す。開くとそれは、胸に日章旗を縫いつけた純白のユニフォーム。
弥彦「……母さん」
和歌子「弥彦……身体をば大事にしやんせ」
(完全シナリオ集より)
ツンデレお母さんが最後の最後に方言丸出しで息子を「誇り」と絶叫するシーンに、涙した!
歴史的にも夫を命をかけて守り通した忠妻として有名な和歌子を、白石加代子さんが熱演、芯が強そうで、意地悪そうで、でも愛情深くてという難しい役だったと思います。
情が深く“女西郷”と呼ばれた #三島和歌子 。常に刺客に狙われていた夫・通庸を守るため、自ら仕込み杖を携えて邸内の見回りをしていたそう。三島家の庭に孔雀がいたこと、当時珍しかったピアノがあったことも記録に残っているエピソードです。#いだてん pic.twitter.com/xFHRSFsmjM
— 大河ドラマ「いだてん」 (@nhk_td_idaten) 2019年2月17日
弥彦はその後もつらく苦しい人生を歩むことになるのですが、生田斗真さんの痛快男子ぶりも良かった。