(韓国への)輸出規制に始まって(日本は韓国を)ホワイト国(輸出優遇国)からも除外しましたが、その理由について何も説得力のある説明がなかった。徴用工問題で適切な対応をしなかった韓国政府にも腹が立ちますが、日本が(韓国の)弱みにつけ込むような措置を突然、突きつけてくるとは思ってもいなかったので、思っていた日本とは違う、裏切られたというか。

 仕事柄、経済産業相(世耕弘成前経済産業相)のツイッターをチェックしていましたから、これは明らかに徴用工問題の報復だと感じました。韓国のほとんどの人もそう思っていると思います。まさか、あの日本がこんな形で報復するなんて、と。ああ、余裕のあった、古き良き日本はもう存在しないのだとあらためて感じました。日本社会も韓国と同じように喘いでいて、韓国と同じように世論を外に向けさせないといけないのだなあと」

世耕弘成前経済産業相 ©文藝春秋

 彼女は、これまでどおり月に1度、仕事で日本に行っているが、最近は飛行機のチケットがとりやすくなったと笑い、日本にいる時は韓国語を意図的に使わないように気をつけているなどとも話していた。

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 それにしても古き良き日本、とは。

売上が激減しているのは「ビール」と「ユニクロ」

 韓国で売り上げが急減しているといわれるのは日本産の「ビール」と「ユニクロ」だといわれる。裏を返せば、それだけこの2つが韓国に受け入れられていたということだろう。

 日本産ビールの売上は輸入ビールの中でここ10年ほど不動の1位だったが、7月にはあっけなく3位となり、8月には13位にまで転落したと伝えられた(韓国関税庁調べ)。

©iStock.com

 代わって海外ビールで台頭しているのが中国産の「青島ビール」なのだとか。サッポロビールが好きだった知り合いも代わりに他のビールを飲んでみたら、「韓国産ビールが意外とイケててびっくりしました。この際、他の味も飲んでみようと思って、世界のビール巡りをしてみるつもり」と話していた。

 韓国内で輸入ビールの需要が広がったのは、若い世代の間でビールが好まれるようになった2010年代からといわれ、その頃には、2000年代に27カ国だった輸入先はほぼ倍の51カ国へと増えた。ビール好きの間ではまずいと認識されていた韓国産ビールも最近では地ビールなども増えて、健闘している。つまり、選択肢が広がっている。

 ユニクロは2005年に韓国に初出店してから、快進撃。あれよあれよという間に店舗を増やし、大型のショッピングモールでユニクロが出店していないところはないといわれるほどだった。ところが、7月11日、ファーストリテイリングの役員が決算報告の場で、「(韓国の日本製品の不買運動の)影響は長くは続かないであろうと思う」と発言したことが韓国の人の怒りに火をつけてしまった。この時ネットでは「ばかにされた」という書き込みが多く見られた。