ソウル市内では3店舗が閉店となったが、これは、「採算の悪い店舗を閉めて、新店舗に注力しようという戦略のようです」(韓国紙記者)とも聞く。
売り上げは公表されていないので分からないが、前月と比べて7割減という報道もあった(8月15日、朝鮮ビズ)。
50代の知り合い(女性)は、ユニクロで買い物をした後、友人とお茶をしたら、「ユニクロの袋、隠さないとだめ、だめ。何か言われるわよ」とたしなめられたという。ただ、集まった友人の中にはユニクロに勤めている娘が無給休職になったと心配していた人もいたそうだ。
実際にユニクロの店舗に足を運んでみると、客足が減ったかどうかはあまり分からなかったが、同じショッピングモールの中にある、かつて閑散としていた韓国のファストブランドのほうが客足が多いようにも見受けられた。
90年代韓国での日本たばこ不買運動との違い
90年代、韓国では日本のたばこの不買運動が行われていた。日本のマイルドセブンは当時大人気だったが、店頭からは姿を消した。それでも、在庫を尋ねれば棚の下や奥のほうからこっそり出してくれるような光景が普通にあった。象印の炊飯器も大人気だったし、日本製品は質が良いという認識があり、日本製品を持つことがある種のステータスだった。
それから20年あまり。
今や韓国にも世界のモノがあふれている。選択できる分母がすでに大きく異なっている。日本の今回の措置でちくりと刺さった日本への不信という“棘”は、韓国の人からなかなか抜けないかもしれない。
それでも、モノがよければ顧客はいつかは戻ってくるだろう。
しかし、戻らないものもある。製品でも旅行でも、選択できる立場の人はいいだろう。この夏休み、韓国のある養護施設のこどもたちが、交流している日本の地方にある養護施設のこどもたちに会いに行くことになっていた。だが、今回の日韓の関係悪化や互いの社会の雰囲気を考慮してとりやめにしたという。モノと違い、その年の夏休みの思い出は返ってこない。こんな話を聞くと、大人である私たちは一体何をやっているのだろうかと、やるせなくなる。