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脊髄反射のように中身がゼロの回答を長々と話すスキル

 物事の中身を小泉進次郎さんは理解をしていないから、手持ちの原稿なしにマスコミからパッと質問されると、脊髄反射のように中身がゼロの回答を長々と話すスキルが身に付いてしまっているのは、彼の持ち味なのでしょう。環境大臣になったのも、そもそも環境問題について日本はまずまずやるべきことはやってきて、鳩山政権やら京都議定書などを経つつも「日本のエネルギー政策はエネルギーミックスであり、再生エネルギーの割合を増やしながら環境負荷の大きい火力発電所や出口政策のない原子力発電所について速やかな着地を目指す」とそれらしいことを言っていれば仕事になるんです。

©iStock.com

 なんせ、本来の主管官庁は経済産業省・資源エネルギー庁であり、環境省は実は無関係なんですよね。福島第一原発での残念な事故があって、トリチウムの汚染水を希釈して海に流すという話が出た際に、真っ先に横槍を入れたのは環境大臣である小泉進次郎さんでしたが、もともと汚染水の処理について環境省は権限をあまり持っていません。

 まるで世の中は小泉進次郎さんが無責任に物事に噛みに行っているように批判するのですが、環境省自体がたいした責任を伴った役所でもなかったりもします。環境省のトリチウム関連の説明を読んで、どなたか「なるほど環境省は分かりやすい、これは責任を双肩に担っているんだな」と思う人はいますでしょうか。

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汚染処理水(トリチウム)の海洋放出によって、海洋汚染は起こりますか。
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28qa-07-15.html

汚染水対策に関する取組
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-06-03-05.html

 必然的に、我が国のエネルギー政策において無責任に「セクシーに取り組む」と発言してしまう小泉進次郎さんが、環境問題の実働はある程度地方の環境事務所に押し付けてきた環境省の大臣になるのは運命的だったと感じるわけです。もちろん、小池百合子都知事もかつては環境大臣で、そのときに部下であった小島敏郎さんを顧問にして突然豊洲市場移転問題で「立ち止まる」とか言ってちゃぶ台を返し、東京都の猛暑などの環境対策で「打ち水作戦」なる事業を打ち立ててしまい、環境関連は馬鹿しかいないのかと酷評されたことは記憶に新しいところです。

環境省が「セクシー」であるべき理由

 そういう環境省のような「人間の活動した後で出てくる困った諸問題を総括して引き取る役所」こそ、本来は無責任であってはならないわけでして、サステナブルな社会を実現するために環境省は何ができるのかを再定義するのだ、と小泉進次郎さんが自分の言葉で言い始めてくれさえすれば、もう少し実態が良くなるのかなあとは思います。

環境省での記者会見に臨む小泉進次郎氏 ©AFLO

 経済活動も地方自治も、人間の活動の所作でしかないのだから、人口減少に悩む日本の地方の再生に環境面でどう取り組むのか、そういう環境省でしかできないグランドデザイン作りを小泉進次郎さんが着手しますよ、となれば、本人の中身が現在まだ白紙であるだけに多くのアイデアも人材も出てくるんじゃないのかなあとは思うんですよね。

 本来の「セクシー」というのは、そういう新しい価値を古びた日本社会の慣習や制度の置き換えに資するようみんながゾクゾクするようなビジョンを打ち立てて、実行できるよう鼓舞するところにあるはずなのですが。

 でも、「セクシー」の言葉の意味を説明するのはヤボなんですよね。ちょっと残念な気はします。

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