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「母から聞いた経験談」を活かして15歳で演じた“14歳の母”

――女優活動を開始されて、すぐにNHKドラマ『聖女』で、事務所の先輩でもある広末涼子さんの幼少役として出演されます。子役として活動されてきましたから、演技はすんなりこなせましたか?

山口 それが全然できなかったんです。自分の中でも「できる!」という謎の自信がみなぎっていたんですが、セリフの練習から動作から何から何まで、お芝居の先生とみっちり練習した記憶しかないです。現場にも積極的に参加させてもらっていたので、あっち行って、こっち行って……すごく忙しかったです。

 

――大変なスケジュールですけど、まだ中学生ですよね? 忙しすぎて「もう、いや!」みたいなことはありませんでしたか?

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山口 不思議とありませんでした。当時はまだ「仕事」という意識もなくて、ただ単に「お芝居している、なんか楽しい!」っていう感情だけで動いていたんですよね。

「違う人になれる!」という感覚とも少し違って、演技に対して「こういうことやってみよう」「こういうことしたらもっと楽しいかな?」そういう感覚なんです。

――そんな中で出演したドラマ『コウノドリ』では、中学生で母になる役を演じて話題になりました。当時は山口さんも中学生ですよね?

山口 はい、15歳でした。同世代の役柄とは言っても「妊娠する」「母になる」というのが未知の世界すぎて、色々調べたのは覚えています。出産の動画を見たり、お腹に詰め物をして過ごしてみたり。でも母から聞いた経験談が一番お芝居に繋げられました。出産予定日の前日はどんな思いだったのか、出産するときにどこを力めばいいのか、とか。

 

「今度は何をツッコもうか」佐藤浩市の息子・寛一郎と挑んだ初時代劇

――山口さんが挑戦されている役柄は少し個性的なキャラクターが多いですよね。『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』での浮気に気づく娘も、『コウノドリ』での14歳の母も、自分で経験していないことを軸に演じる役柄です。まもなく10月4日に公開される映画『下忍 赤い影』でも、薩摩藩のお姫様という役どころですよね。

山口 すごく強い女性像ではあるんですが、「お姫様」であるというバランスはすごく気をつけました。所作は普段の生活から基本の内股で歩くとか、姿勢を正すとか、手をちゃんと揃えることとか。時代の雰囲気を殺さないように。

 

――幕末の動乱を裏側から描く今作ですが、主演の寛一郎さんは佐藤浩市さんの息子さんです。お2人でのシーンも多かったと思いますが、共演されてみていかがでしたか?

山口 すごく自然体の姿で演じられている印象でした。寛さん演じる竜は忍者の最下層「下忍」の末裔なんですが、腕はあるけどどこか“未完成”なキャラクターなんですよね。抜けているところもあったりで見て頂くと思わずツッコまずにはいられないシーンも多いんですが、自然体の寛さんと、“未完成”な竜が合わさったときにぴったりフィットするんです。だから私も「今度は何をツッコもうか」「ここは引いてみよう」とか、ごく自然に静という役に入り込めたんです。

――まさに山口さんが芝居を楽しむ感覚が満載ですね。

山口 そうなんです。お芝居の中でも、色々と発見できることが多い作品でしたね。

映画『下忍 赤い影』より