昨年は東大、慶大等エリート大学生による性犯罪が続いたわね。千葉大医学部集団レイプ事件の初公判で、被告人の一人は「同意があった」として無罪を主張。別の一人は「(他の学生に)唆された」と弁護人が供述したと聞いて、ボクは暗澹たる気持ちになったわ。彼らには「魂の殺人」とも言われる強姦を犯したことへの、罪の意識が極めて稀薄。飲み会に同席した研修医までが準強制わいせつ罪で起訴されているのよ! 指導的立場の人間までが、雰囲気にのまれて加担するなんて!
ボクが「尾木ママ」ではなかった頃の話。十五、六年くらい前、研修医や医学部生向けの講演によく呼ばれていたの。彼らの常識のなさには驚かされる場面も少なくなかったわ。講演会場への行き方を尋ねると「何番のバスに乗って、どこどこで降りて」と電話で説明し始める。思わず「普通は招待したら駅まで迎えに来てくれるものよ」と教えたわ(笑)。度肝を抜かれたのは、全国から集まった研修医達の夜の懇親会。出し物が殆ど下ネタ! 裸になって前だけ隠して、とっても下品。そんな中で若い女医さんが「私、小児科の研修中なんですけど、子供の泣き声がうるさいので科を変えたい」なんて相談してくるの。子供を苦しめている病気を治したいとか、命を救う「医療」への熱い志は感じられなかった。
もちろん、意識が高く使命感に燃える医学生は沢山いる。一方で、単に偏差値が高いから医学部を勧められて入学した、という学生も多いのよ! 進路に悩んだり、壁にぶつかってそれを乗り越えるといった体験がないまま社会に出るから、どこか幼稚だったり傲慢だったりする。
理数系の優等生にこぞって医学部を受験させたがる高校、予備校、親の責任も大きいわ。人生設計や職業に対する理解を家庭でも深めていかなくちゃ。お父さん達の出番よ!