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徳尾さんは、「おっさんずラブ」で第97回 ザテレビジョンドラマアカデミー賞 脚本賞を受賞されました。おめでとうございます!

――さて、それでは代表作である「おっさんずラブ 」のお話をお伺いします。徳尾さんにとって「おっさんずラブ」とは?

 初めてオリジナルで全話を手がけた連続ドラマですし、賞もいただいたので、僕の人生上でも記念すべき作品になりました。

 本当にたくさんの人が盛り上げてくれている状況を見て、「ありがたいなぁ」って思うことが多く、それはこの作品ならではの新しい感覚ですね。

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「懐かしいな~、政宗のキャラクターって眞島さんがすごく細かく設定してくださってたんですよ」と『おっさんずラブ』公式ブック(文藝春秋刊)を読みながら。

――徳尾さんのTwitterもファンのみなさんの間で、非常に話題になりましたね。ご自身が“売れた感”を感じることはありますか?

 全然ないですね……。

 ただ、田中 圭さんや監督の瑠東(東一郎)さんと対談させてもらったときは、「田中 圭さん、売れたなぁ~!」とか「監督、売れたなぁ~!」とかは思いましたね。

 確かにTwitterのフォロワーは増えましたけど、それはドラマや映画の情報を呟いたりすることにみなさんが興味を持ってくださっているというだけなので、僕に価値があるわけではないと自覚しています。

 作品が評価されていることに関しては純粋に嬉しいですが、僕自身は変わっていませんね。

――そして、『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』が公開されましたが、連続ドラマで一旦終わったストーリーの続きを書くのは大変ではなかったですか?

 確かに最初はかなり悩みました。

 恋愛ドラマって、二人が付き合うまでが主なので、恋愛ドラマとしては連続ドラマが終了した時点で終わったかなと思っていたんです。

 映画化はその後に決まったので、「じゃあ何をやるか」ってなった時に、やっぱり恋愛ドラマとして、その続きをやるべきだなと思いました。

『劇場版 おっさんずラブ』は焼き直しではなく、ちゃんとした続きのストーリーを書きたかった、と熱いお気持ちを話してくださいました。

 じゃあ、何を続きとするか。

 連続ドラマのラストは、春田が牧にプロポーズをしただけで、普通はプロポーズの後って結婚するまで何だかんだ1年くらいかかるわけじゃないですか。

 特に20代から30代の時って、恋愛だけでなく、仕事人としての夢だったり、何かを成し遂げたいという思いだったりはみんなにもあると思うし。

 そういった夢と「大切な人と家族になる」ってことがぶつかったりもする時期だから、そんな葛藤が描けたら「おっさんずラブ」らしいし、ちゃんとした“続きの話”として書けるんじゃないかって、覚悟を決めました。

 先がわからないものに対して一所懸命生きていくということに関しては、自分自身もそうだし、そこにすごく共感するっていうのは昔からあるんですよね。

 大きな夢はないけれど、着実に歩んでいく人って、書いていても楽しいんで。

「おっさんずラブ」も含め、周りの人への感謝の言葉に溢れていた徳尾さん。「色紙を書いてください」とお願いをしたところ、ご自身考案のキャラクター「とこなつボーイ」も描いてくださいました。