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特集2019年上半期の「忘れられない言葉」

同性婚 国が繰り返した「想定されていない」は、ゲイの僕の日常を象徴する言葉だった

ドラマだってLGBTQを「想定している」のに

2019/08/10

 2019年2月14日。バレンタインの聖夜は少し肌寒かった。

 僕は、ゲイパートナーである夫と共に、あるイベントに参加していた。

「結婚の自由をすべての人に」をテーマに掲げたこの集まりには、この日から始まった、いわゆる「同性婚訴訟」の原告らも含め、たくさんの人や報道陣が詰めかけていた。

 この日、やっと、「婚姻の平等を求める訴訟」が始まったのだ。これは、2015年に婚姻届を提出したが、不受理になってしまった僕たち夫夫(ふうふ)にとっても他人事ではなかった。

同性婚訴訟の第1回口頭弁論で、大阪地裁に向かう原告ら ©共同通信社

実感のない「同性婚の賛成率が約8割」というデータ

 世間に目を向けると、同性婚の賛成率が約8割というデータがでていた。嬉しい反面、一当事者の僕の感覚として「同性婚賛成! 応援します!」って声が世の中の8割だという実感は微塵もないし、疑問を抱かずにはいられない。

 同性婚の話をすると「渋谷区では結婚できるんじゃないの?」と言われることが未だに多い。言わずもがな、渋谷区が実施しているのは同性間でのパートナーシップを証明する「パートナーシップ証明書」の交付であって、同性婚ではない。つまり、同性婚については無関心層が一番多く、反対か賛成かどちらかと聞かれれば賛成かな~という人が多いのではないかとも思える。

 もちろん、それだけでもありがたいことではあるのだけれど。

今年に入ってからも多く放送されるLGBT関連ドラマ

 そして、少しずつ受け入れられてきた要因として考えられるのが、いつの間にか進化した日本のテレビドラマの数々ではないだろうか。

 昨年放送され話題となった「おっさんずラブ」が呼び水になったのは言うまでもないことだが、この春放送された「きのう何食べた?」では内野聖陽さんと西島秀俊さん演じる、リアルなゲイカップルの何気ない日常が人気を博した。僕はこの作品の原作漫画を以前から読んでいて、文春オンラインで記事も書かせていただき、多くの方に読んでいただいたようだ。

「東京ドラマアウォード2018」授賞式。ドラマ「おっさんずラブ」で主演男優賞を受賞した田中圭さん(左)と助演男優賞を受賞した吉田鋼太郎さん。同ドラマは作品賞・連続ドラマ部門グランプリに選ばれた ©時事通信社

 また、古田新太さんが主演の「俺のスカート、どこ行った?」は、Huluで一気観して眠れないほどにハマってしまい、「お疲レインボー!」という主人公のセリフを、いたるところで僕も使ってみた。残念ながら僕の周りでは流行語にはならなかったが、面白いドラマだった。

 その他にも「腐女子、うっかりゲイに告る。」など、今年に入ってからもLGBT関連のドラマが多く放送され、話題となっている。