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 そんな背景があることもあり、アイルランド戦の日本代表が、試合前に全員で肩に手を当ててロッカールームに戻って行ったり、ハーフタイムにチーム全員で後半に向けた話し合いをするというのは、アメフト経験者としては非常に新鮮に見えた。アメフトでは攻守のチームごとにベンチは別だし、試合中にオフェンスとディフェンスの選手が戦術の相談をすることはほとんどないからだ。

 もっと言えば、試合中にオフェンスチームとディフェンスチームでガチ喧嘩をすることすら(ごくたまにだが)ある。ブレイブブロッサムズの一体感、うらやましい……。

「イングランド(イギリス)」で生まれたのがラグビー ©iStock.com
イギリスのフットボールが「アメリカ独自の発展」を遂げたのがアメフト ©iStock.com

アメフト視点「ラグビー選手の独創性はスゴい!」

 また、その場の創造性が生むキックパスや選手同士の感覚だけで行うノールックパスといった「阿吽の呼吸」が求められるプレーもすごいと感じた。

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 アメフトはひとつひとつのプレーで各選手の役割が非常に細かく決められている。そのため、基本的に「それぞれの選手が過不足なく自分の役割を果たせば良い」という形が取られている。なので、こういったプレーヤーたちのその場の判断でプレーが生み出されていくということは少ない。その分、今回のラグビーW杯で目にしたそういった独創性あふれるプレーの数々は見ていて非常に楽しそうだった。

 田村優の冷静な試合運びとキック、福岡堅樹の抜群のスピードを活かした突破、中村亮土の後ろを顧みないフルタックル等々、それぞれの選手の個性が顕著に活きたプレーはラグビーならでは。自分も松島幸太朗みたいな変則ステップもしたかったけど、きっとやったら「走るコースを守れ」とコーチに死ぬ程怒られていたと思う。

 ちなみに今大会のアメリカ代表には元NFL所属のポール・ラシケ選手も参加しているが、チームも含めて活躍はいまひとつ。また、前回W杯で活躍した某日本人選手はその後、NFLのトライアウトを受けたが、その壁はやはり高かったと聞く。一見似ているようで、両競技で活躍するのはなかなか難しいことなのだ――。 

 さて、ここから先はサモア戦、スコットランド戦と日本代表もますます厳しい戦いが待っている。史上初の決勝トーナメント進出に向けて、今後の試合も楽しみに観戦しようと思っている。頑張れ、日本代表。

……あ、9月からはNFLも開幕しているよ!

©iStock.com