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「リアルタイムで動き続ける自己監査プログラム」が実現すれば……

 問題は、会計事務所に雇われた新卒の学生たちが、すぐに即戦力や“歩兵”として働き始めることにもあります。会計士には教養が必要であり、高レベルの教育が施されなければなりません。多くの言語を学び、様々な世の中の知識、食、音楽、芸術などに精通していることが好ましいのです。

 それらを踏まえた上で、私が夢に描くイノベーションの一つは、リアルタイムで動き続ける自己監査プログラムです。ネット上をはじめ、様々な場所に転がっている公共データやリアルタイムの情報を次々と取り込み、常に監査をし続ける――。

 第三者によるこうしたプログラムがあれば、各企業もいっそう正確に帳簿をつける必要が出てきます。

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人生において大切なのはテクノロジーよりも“生きがい”

 とはいえ私は、テクノロジーが必ずしも社会を良い方向に変えたとは考えていません。香港の暴動やアラブの春を見る限り、確かにツールとして活用される余地はあると思います。しかし、シリコンバレーで考えられている“理想の社会”の姿は、決して私たちが実現を願うものではありません。

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 私の両親や親戚は教授、芸術家、実業家、革命家といった者たちでしたが、全員に共通していたのが、一生定年を迎えないという点です。人生が一つのミッションであれば、定年退職という概念は存在しません。

 日本語にも「生きがい」という言葉があると聞きました。理想の社会とはテクノロジーによって実現するのではなく、そうした“人生のミッション”を一人ひとりが持つことで初めて生まれるのではないでしょうか。

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