文春オンライン

「ストレスがうなぎ上り!」 ひたすら謝るのが仕事だったクレーム対応の画期的な改革

『督促OL指導日記 ストレスフルな職場を生き抜く術』変わっていくコールセンター

2019/10/17
note

クレーム対応の画期的な改革

 例えば、とある保険会社のコールセンターでは、何度もクレーム電話をかけてくる顧客に対しては会社で契約をしている弁護士へ対応を委任することにしました。そうした弁護士対応案件になっている顧客からコールセンターに電話が入った場合、オペレータは即座に「〇〇弁護士にお任せしているので、弁護士へ連絡してください」と電話を切ることができます。弁護士対応を導入することによって、今までのように何時間も怒鳴られることが無くなり、オペレータはその時間を通常の業務に充てられるようになりました。もちろん罵詈雑言を浴びせられ、精神的な負荷を負うことも軽減されました。

©iStock.com

 近年は「カスタマーハラスメント」という言葉もよく聞くようになりました。顧客の理不尽な要求に対処しよう、という流れが出てきています。それは少しずつではありますが、コールセンターにも広まっています。

 なにより、コールセンターで働いてくれているオペレータさんは貴重な人材なのです。

ADVERTISEMENT

理不尽な要求には「NO」を

 そもそも売り手市場の昨今、コールセンターに応募してくれる人も減って、採用だって大変です。

 やっとの思いで採用したオペレータさんたちにみっちりと研修を行い、ようやく一人立ちさせ電話を取ってもらったら運悪くクレーム。怒鳴られたショックで次の日から来なくなってしまった、なんてことは多々あります。

 そんな光景を目の当たりにする度に「貴重なオペレータさんになんてことしてくれるんだ!」と私たちはクレーマーのお客様に怒り心頭になります。

 いままでコールセンターはお客様の声を聴く場所でした。その「聴く」の中には理不尽な要求を我慢して聴くことも含まれていました。けれど、もう我慢しない、理不尽な要求にはコールセンターのオペレータだって「NO」と言っていこう、という空気ができてきているように感じます。そしてコールセンターの大半は、理不尽な要求からオペレータを守ろう、という方向に向かっています。それはとても喜ばしくいい流れだと思います。

 まだまだ弁護士対応などの手段を導入してくれているコールセンターは少ないですが、コールセンターにもオペレータを守るためにできることはもっとあるはずです。理不尽なことで怒鳴られることのないコールセンターの時代がいつか訪れることを、切に願っています。

 
「ストレスがうなぎ上り!」 ひたすら謝るのが仕事だったクレーム対応の画期的な改革

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー