人見知りで気弱なOLが年間2000億円の債権を回収するまでを綴った『督促OL修行日記』の著者が数年後、オペレータたちを束ねる監督者に昇格。部下の指導に追われる毎日のなかでも感じる“クレーム対応”への変化とは。

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一昔前はただひたすら謝るのが仕事

 私がコールセンターで働き始めてから、気が付けば10年以上が経過していました。

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 10年も経てばコールセンターも変わりますが、その中で1つ、最近大きく変わったと思うのがクレーム対応です。

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 一昔前、私が新卒でコールセンターに入社したとき、クレーム対応はただひたすら謝って、相手の怒りを収めることだと教えられました。

 逆に言うと、コールセンターのオペレータにはそれしか手段がありませんでした。お客様に言い返すなんてもってのほか、怒鳴られても罵詈雑言を投げつけられても、とにかく謝って相手が落ち着くまで耐えなければなりませんでした。

 誰だって一方的に怒鳴られ続けるのは嫌なものです。何度も言っていますが、コールセンターで電話を取っているオペレータは、大半が非正規雇用―派遣社員や契約社員、アルバイトです。お客様に無茶な要求を言われても、それに応じる権限はありません。けれど電話口のお客様はそんなことは関係なしに「はやくなんとかしろ!」「とにかく責任を取ると言え!」と迫ってきます。

目的は、言い返してこない相手を怒鳴ること

 相手の要求を断わる事しかできず、電話口で対応しなければならない。そうなるとオペレータに出来ることはただ1つ―「謝る事」だけです。

 お客様もコールセンターに電話をするとオペレータはひたすら謝り続けるので怒鳴りたい放題。日頃のストレス解消では? と思うくらい、何度も、何時間も激しく責め立ててきます。こうなると、目的は商品やサービスの文句を言うことではなく、ただ単に言い返してこないオペレータを怒鳴る事になります。これはもういじめです。

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 ただでさえ電話口で話しっぱなしなのに、その上いじめのように怒鳴られる。

 これではオペレータのストレスもうなぎ上りです。

 そんなコールセンターで私たちオペレータは長らく怒鳴られることに耐えてきました。けれど近年になってやっと、謝罪以外のクレーム対応を行うコールセンターが現れたのです。