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地上波で一番危険な番組『#ハイパー』上出Pが明かす「マジで危ないロケの話」

テレビ東京『ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート』上出遼平Pインタビュー

“地上波で一番危険なグルメ番組”『ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート』(以下『ハイパー』)が3か月で早くも続編が放送。10月14日(月)夜22時の放送を前に、前回の放送で危なすぎて言えなかった撮影秘話から今回の見所まで。テレビ東京の上出遼平さんにお聞きしました。

『ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート』を手掛ける上出遼平P

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ハードボイルドな『突撃!隣の晩ごはん』

――前回7月15日に放送された危険すぎる『ハイパー』がまさかの3か月でスピード復活ですね。驚きました。

上出 僕もえっ!? ってなりましたよ(笑)。放送まで3か月もないから無理だと思って、最初断ったんですけど社内で「とにかくやるんだ!」と言われまして……。やらせてもらえるのはありがたいことなんですけどね。

――ということは、準備期間は3か月もなかったんですね。

上出 そうなんです。しかも『ハイパー』のスタッフは少なくて10人前後で制作していて、みんなそれぞれ他のレギュラー番組も抱えているんです。でも放送日は迫ってくるので、レギュラー番組のスケジュールを押しのけてでも「すみません」って言って、海外ロケに飛び出していくしかない。だから今、社内では相当嫌われてます。

――前回お話を聞いたときは、テレ東社内でも「危なすぎるから」という理由で1年以上も続編制作の許可が下りなかったと。

上出 番組のラインナップを決める編成の方が『ハイパー』にすごく意味を感じてくれたんです。それが今回のスピード復活のきっかけでした。

――7月の『ハイパー』では、ケニアのゴミ山に住む青年に取材されていました。

上出 ゴミはお金になるので利権争いが起こって治安がめちゃくちゃ悪いんです。僕が行ったナイロビのゴミ山も周囲はスラムで取り囲まれている。そんな場所で、取材2日目にようやく見つけたのが奥の奥で穴掘ってトタン屋根かぶせて住んでる青年でした。

ゴミ山の最奥で暮らすジョセフ(18歳)。まだ人もまばらな早朝のひと時、住まいから少しゴミ山を下りた場所でめぼしいゴミを拾う。彼が乗り込むゴミ収集車がここに来るまでのわずかな時間も彼には貴重だ ©テレビ東京

――最初から相当危ない感じが伝わりますが、あくまでグルメ番組ですよね。

上出 『ハイパー』を改めて簡潔に説明すると、ハードボイルドな『突撃!隣の晩ごはん』なんです。観光客が入っていけないような場所に行って、そこで暮らす人が何を食べるのかを見に行く。一緒に飯食うともっと色んな話が聞けるという番組です。だからゴミ山に暮らしていた青年にも「ご飯見せてもらえませんか?」とお願いして。

「ゴミ山で食べるお赤飯」と、青年が見せてくれた「宝物」

――青年とトラックに乗ってナイロビ市街へのゴミ回収にも同行されていました。

上出 他の人たちはゴミ山に来たゴミを仕分ける仕事をしているんですけど、彼は「この方法は俺しか知らない」と言って、街へ行く車に乗ってゴミ捨て場を回るんです。

 その時にすごく感じたのが周囲の人の視線で。ごみ収集車は、絶対に必要な存在ですよね。だけど、汚物をみるような目線で終始見られている。すごくタフな仕事だなと思いましたね。

――きつい視線を受けながら1日かけてゴミを集めて……。

上出 だけど8時間ぐらいプラスチックとか金属とかお金になるゴミをたくさん集めてやっと90円ぐらい。時給にしたら10円ちょっと。青年はそのお金で2食分のお米と豆を買って、ごみ山で自然発火している火と空き缶でお赤飯を作っていました。そんななけなしのお金で作ったお赤飯を僕にもひと口分けてくれて。

――「ゴミ山で食べるお赤飯」の味は?

上出 美味しかったです。日本のお赤飯とは違ってお米が少し固めで良い感じに僕好み。しかもその日は虹も出ていて、ゴミ山と言えど山ですから頂上から見た景色の中で食う飯が美味しいのは同じですよね。もちろんゴミの臭いはしましたけど。

仕事を終え、スコールに打たれた体を焚き火で温める。焚べたスポンジが焼ける刺激臭と、ゴミ山の強烈な臭いが立ち込める中、彼の背後に二重の虹が掛かった ©テレビ東京

 でも本当に青年にはそれだけなんですよね。働いても全部飯代になっちゃうわけです。その時に……あれ、彼の隠しロッカーみたいなことってオンエアしてないですよね?