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――オンエアされていません。なんですか?

上出 ゴミ山に少し水が流れている川みたいな場所があるんですけど、その脇に小さな横穴があって。中にはビニール袋に入れた服とか彼の「宝物」が隠してあるんです。

 ある時に「見せてやろうか」と言って、この隠しロッカーからお気に入りの一張羅を見せてくれたんです。もちろん全部ゴミ山で拾ったものなんですけど、彼にとってその1枚がものすごく大切なものなんですよね。それを僕に見せてくれたことにとても感動しました。

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「ずっとつけられていた」常に危険と隣合わせの取材

――前回のインタビューの際に、「オンエアするか迷っているほどの、ゾッとする結末が待っている」とお聞きしました。彼が取材の直後に強盗事件に巻き込まれたことだったんですね。

上出 強盗に刺されちゃったんですよね。一命は取りとめたので良かったですけど。

――上出さんが取材していた相手がすぐに襲われている。これほど危険な場所だったということですよね。取材中は危険なことはなかったんですか?

上出 うーん。また社内で呆れられてしまうので言いづらいんですが……(笑)。僕がゴミ山で暮らす人を探しているときに、めちゃくちゃ遠くから3人ぐらいにずっとつけられたりしましたね。みんな相当目が良いんですよ。

――えっ、怖すぎます。

上出 日が暮れる前にゴミ山を出るということは鉄則で守っていたんですけど、もし残っていたりしたら……ヤバかったと思います。

 

――コーディネーターと2人行動ですよね?

上出 ディボゴっていうおじいちゃんと2人です。何回か2人で囲まれて「ここ通るなら1万円払え」みたいなことを色んなグループに言われたりして。あんまり言いすぎるとまた怒られるからなあ……。

「みんなこれが欲しいんでしょ」は他の人が作ってくれる

――この番組を制作するにあたって、社内では「呆れられている」という話もありました。

上出 そもそも“マス”の番組ではないんですよね。一部の方々に強めに刺さる。社内ですら“マス”じゃないんです。そんな中で、意味を感じてくれた人が「絶対やるべきだ!」という声を上げてくれて制作が決定するという……。本当に予測不可能な番組です。

――前作7月の反響はいかがでしたか?

上出 ありがたいことにTwitter界隈では放送後もしばらく感想を投稿してくださる方が多くて。僕の“エゴサーチ”ではタレントの千秋さんが「永久保存版だ」なんてツイートしてくれていました。あとはYouTubeのほうでも第1弾の「リベリア編」スピンオフ動画を公開したんですが、合わせて170万回再生を超えたり……。

 

――すごいですね。前回は初のゴールデン進出でしたが、視聴率はどうでしたか?

上出 覚えてないですね(笑)。うん、ここまでは許せるというラインをギリギリ越えなかったくらいかな……。

――いま、地上波のテレビ番組にとっては、「視聴率」というものが重視されますよね。万人に愛される番組作りというか。

上出 もちろん視聴率は大事ですが、やっぱりテレビ東京には「強く深く刺さるコンテンツを作っていかなければならない」という意識があって。そんな意識で『ハイパー』の続編が決定した部分もあると思います。この番組はYouTuberみたいに自分でカメラ持って現地行って取材して編集してってすごく現代的な作り方だと思うんです。「作り手が見えるコンテンツ」をテレビ局がちゃんと作ることも必要。「みんなこれが欲しいんでしょ」という及第点を目指す番組は他の人が作ってくれますから。