今回の舞台は「ギリシャの難民漂着飯」
――そして前回よりも弾丸制作となった『ハイパー』ですが、上出さんはどちらへ?
上出 今回はギリシャです。ただ日程が限られていて、他の番組の収録だけして翌日に出発して、また別の特番の収録日に帰ってくるような、まさに弾丸スケジュールになりました。
――忙しい(笑)。ギリシャでは何を取材されたんですか?
上出 中東の難民が、EUに入国しようと押し寄せているというニュースを見たんです。小さな15人乗りぐらいのゴムボートに45人ぐらいが乗って、トルコからギリシャのレスボス島という小さな島にどんどん入ってくる。大体8万人ぐらいが住んでいた島だったんですけど、2015年くらいからもう7万人以上の難民が島に居座っていて、難民キャンプも大変な事態になっていると。
――実際行かれてどうでしたか?
上出 事前のリサーチでもなかなかに酷い状況だと聞いていましたが、「故郷の方がマシ」と話す人がいたり。そんな状況だけど毎日ボートはやってくるんですよね。警察の目を避けて深夜に到着するボートを海岸で待ち伏せて到着した人に、「何食うの?」って聞いて回って。
ギリシャでの取材で“一番ヒヤッとしたこと”は?
――難民キャンプの食事があんまり想像できないんですが。
上出 まあそれはオンエアを見て頂ければ(笑)。でも難民の方々に話を聞いていて、その出国を後押しするブローカーが気になってきたんです。そのブローカーの話も聞かないと今回の『ハイパー』は完成しないなと。それで急遽ボートが出る側のトルコに行くことにして。
――難民のルートを逆流したんですね。でも思いつきでトルコに行って、ブローカーに会えるものなんですか?
上出 日本で探そうと思うとほぼ不可能に近い話なんですけど、現地で伝手を辿ってボートが出る沿岸を警備していた人に接触できたんです。その人が案内してくれて、ブローカーに話を聞けました。難民向けの違法な商売ですけど、実は成功報酬制度だったり保証制度もあってビジネスとしてシステマティックなんですよ。すごく面白かった。
――え、沿岸の警備って……ブローカーを取り締まる側の人ってことですよね?
上出 そうですね。でも結構こういうパターンは多いんですよ。だから犯罪者とコンタクトをとろうと思うと、警察とか軍人にまず通すのが一番だったりする。でもギリシャでは数回、警察に連行されたりもして。他の国でも経験はあるんですが、ちょっとヒヤッとしました(笑)。