奥川のスライダーの軌道が稲尾さんとそっくり
「奥川君は高校生にしては、非常に変化球もコントロールがいい。特にあのスライダーは一級品ですよ。西鉄の稲尾さんのスライダーを思い出しました。曲がる角度とコントロールが稲尾さんの軌道とそっくりだよ。だいたいあの球はコントロールがバラつくんだけど、安定している。彼は直球も150キロ以上と速いし、スライダーも同じように速いからバッターとしたら打ちにくいと思うよ。あのスライダーはプロでもすぐに通用しますよ。抑えとか中継ぎのピッチャーじゃないよ。もちろん先発ですよ」
しかし、プロの大先輩として奥川投手への喝も忘れない。
「広岡(達朗)先輩も言っていたけど、奥川君はマウンドで笑いすぎる。言葉は悪いけど、笑い顔というか、彼は厳しい表情をしていても笑ってるように見えしてしまうところもある。真剣勝負だから、プロに入ったらマウンドでニヤニヤするのは止めたほうがいいわな。プロ野球は格闘技に近いからむしろ強気な怒ったような顔のほうがいい。そのほうが見てる人も迫力があるじゃない」
張本氏は最後に2人にこんな言葉を贈った。
「まずは自己管理。自分の体は誰も助けてくれないから。しっかり鍛えて体力を維持する。そして次は1に練習、2に練習。そして3に練習。練習というのは走ること。これだけはやってもらいたい。投手にとって大切なことだから。彼らがどこの球団に入っても、指導者はぶっ倒れるまで走らせなきゃダメ。プロに入って何年できるかわからないけど、佐々木君、奥川君は引退したときに、日本球界にこんな大投手がいたと歴史に残るような投手になってほしいわな」