ラグビー日本代表の勢いが止まらない。予選グループに相当する「プールA」のリーグ戦を4連勝で終え、史上初となるワールドカップ(W杯)のベスト8入りを決めた。

 ジャパンは2015年大会で南アフリカを下す「ブライトンの奇跡」を起こしたが、それは大会通算25試合目でようやくつかんだ2勝目。1995年の南アフリカ大会では、ニュージーランドに17-145の大敗も喫している。1987年の第1回大会から9大会全てに皆勤しているのは、アジアの壁が低かったからだ。

2015年大会南アフリカ戦、五郎丸のタックル ©getty

 前回大会は南アフリカ戦から中3日で迎えたスコットランド戦を落としたこともあり、3勝を挙げたもののベスト8に進めなかった。しかし今大会は自国開催による日程、環境の利もあり、目標を達成した。

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 盛り上がりは皆さんもご存知の通りだ。9月20日に開催された初戦のロシア戦は平均視聴率(首都圏)が18.3%。それが10月13日のスコットランド戦では39.2%(瞬間最高53.7%)を記録した。これは2019年の全テレビ番組の中でも最高の数字だ。マイナースポーツだったラグビーが国民に浸透し、選手の認知度も劇的に上昇している。

 そこでふと思った。彼らは国民栄誉賞を受ける資格があるのではないか?と。

「控えも入れたら31人」でも受賞資格はあるか?

 国民栄誉賞は1977年8月に設けられた制度で、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」を目的としている。一人目の受賞者はプロ野球で756号本塁打の「世界記録(当時)」を達成した王貞治選手だった。

 その後の受賞者には音楽家、スポーツ選手、漫画、囲碁将棋といった大衆的な人気者が名を連ねている。天皇が授与する文化勲章と違い、国民栄誉賞は時の総理大臣から贈呈される。直近の受賞者はフィギュアスケートの羽生結弦選手だが、「大家」が受章する勲章勲等と違い、彼のような20代前半の若者も受賞対象だ。

「控えも入れたら31人もいるぞ」と思う方は当然いるだろう。しかし2011年には女子サッカーのW杯を制したなでしこジャパンがチームとして受賞している。

スコットランド戦試合前 ©JMPA

 今回のジャパンはまだベスト8だが、既に世界ランク1位(W杯開幕前)のアイルランドや、スコットランドを下している。これはこの国のスポーツ界の歴史に残る偉業だし、自国開催という「もっとも盛り上がるシチュエーション」でそれを達成した事実は大きい。チームが社会に「明るい希望」を与えたことなら疑いの余地はない。