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「来年、爆発的なブームが来る」現役東大院生の印度カリー子さんが、スパイスカレーに賭ける理由

香林館(株)代表取締役 印度カリー子さんインタビュー

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 写真で言えば、従来のカレー本って、寄り寄りで、ふちが切れてる写真が多いんですよ。「どうだ、お腹が空くだろう」って言わんばかりの。

――言われてみれば、カレーの写真ってそんなイメージです。

印度 それって男性が好きな撮り方なんですよね。私のレシピ本では、あえて寄らずに、お皿や全体を写す写真を多く使っています。ヘルシーで可愛らしくて、日常の一コマっぽく見えるようにしたいな、と思って。

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大学では教授に「カリー子」と呼ばれていた

――印度さんのお話って、すごく理路整然としています。実はゴリゴリの理系だったと伺いました。

印度 いやあ、そうですかね……。学部時代の専攻は物理でした。カレーとは全然関係ない学部です(笑)。

――じゃあ、当時は研究と、スパイスカレー生活の両立を。

印度 はい。でも、卒業する頃にはスパイスと関係がない研究だとなかなかモチベーションが湧かなくて……。卒論は無理やりスパイスに絡めていました。その頃には教授にも「カリー子」って呼ばれてましたね。

 

――学部時代に、スパイスショップも立ち上げています。

印度 大学3年生の頃ですね。先ほども言ったように、日本でスパイスカレーを広めるにはレシピの他に気軽にスパイスが買える環境が必要だと思ったので、自分で立ち上げよう、と。

 最初に手掛けたのが、「はじめてのスパイスキッチン」です。自分でスパイスを調合してみたいけど、どこで買えばいいのか分からないし、買っても余りそう、という声が多かったので、1回作る上で必要な分をセットにしたもの。

「はじめてのスパイスキッチン」(「印度カリー子のスパイスショップ」より)

 あとは、百貨店向けに開発した「Dear. Curry」という商品。ホールスパイス(原形のままのスパイス)とペーストが入っていて、具材だけ用意していただければ10分で本格的なカレーが作れます。今、東急ハンズさんで4店舗に置いていただいていますね。

 今は、毎月約3,000セットほど、人数にしておよそ1万人分ほどを全国にお届けしています。

左奥が「Dear. Curry」、右奥が「Slim Spice」、右手前が「はじめてのスパイスキッチン」(「印度カリー子のスパイスショップ」より)

――ここまでくるのに、苦労も多かったのでは。

印度 学生ということもあって、スパイスを扱ってくれる工場を探すのが一番大変でした。お願いできる工場が見つかってからも、わたしのスケジュールがいっぱいいっぱいになっちゃって、欠品が続いてしまった時期もありましたし。

 でも、ありがたいことに注文がすごく増えてきたので、新しく工場ができることになったんです。それに伴い、個人事業主としてではなく、会社としてショップを運営することになりました。

――すごい! それでは、これからは会社経営者としても活動を。

印度 もう、倒産するまでやります(笑)。スパイスカレーのブームが来たって言っても、実際のところはまだまだなんです。