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「来年、爆発的なブームが来る」現役東大院生の印度カリー子さんが、スパイスカレーに賭ける理由

香林館(株)代表取締役 印度カリー子さんインタビュー

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印度 そこで、スパイスカレーに対して偏見がすごくあることに気づいて。当時は南アジアの人がおたま持って作ってるっていうエスニックのイメージか、こだわりの強い男性がスパイスを調合して……というマニアなイメージが強かったんですよね。

――たしかに、今でもそういうイメージはあるかもしれません。

印度 そうですよね。でも、それって大きな誤解だと思ってます。こんなに簡単にたくさんのバリエーションが作れる料理って、食卓の一品としてすごくポテンシャルがあると思うんです。特に、主婦の方にはこの良さを絶対に分かってもらえると確信してました。

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日本の食卓は多国籍だ

――主婦ですか。一番スパイスカレーからかけ離れている印象かも……。

印度 そう思いますよね。でも、よくよく考えたら、日本の主婦の方って非常に好奇心旺盛なんですよ。

 日本の食卓って、グラタンも出てくるし、餃子も出てくる。非常に多国籍なんです。日本の主婦の方は「いいものだ」って感じたら、なんでも作ってしまう。だから、最初からツイッターやインスタでは、主婦の方とつながるよう心がけていました。

――当初はブログで発信していたと聞きました。ハマってから、どれくらい経った頃でしょう。

印度 大学2年生の4月なので、ハマってから2ヶ月目くらいですね。

――もう、さっそく広めるべきだと。

印度 はい。日本で広める活動をすれば受け入れられることは、その時点で気づいていて。

 

 スパイスが受け入れられるために必要だと思ったのが、スパイスを簡単に買える環境と、カレーのレシピでした。それで、まずはレシピをブログにあげることから始めたんです。

――レシピも、ハマってからすぐ作っていたのですか?

印度 ほとんど最初からです。というのも、当時は日本語のレシピがあまりなかったので英語のレシピを参考にしていたんですけど、海外のレシピは油っこいものが多くて……。アレンジを加えて、油少なめのレシピを考えていました。

レシピ本では、ハードルをとにかく低く

――スパイスカレーにはマニアックなイメージがあるとおっしゃっていましたが、印度さんのレシピ本はマニア感がないですよね。

印度 とにかくスパイスカレーを作るまでのハードルを低くしたいので、マニア感、エスニック感はなるべく排しています。

左から『ひとりぶんのスパイスカレー』、『おもくない! ふとらない! スパイスとカレー入門

 それに、いろいろな人に作ってもらいたいのはもちろんなのですが、一番のお客さんは女性です。中でも、主婦の方。主婦の方ってレシピに「玉ねぎ1個」と書いてあったら、「大きい玉ねぎでも小さい玉ねぎでも、まあおいしくできるだろう」って判断するような方が多いと思うんですよ。

――たしかに、毎日食事を作っていると、グラム単位では考えないですよね。

印度 そうなんです。だから、直感的に作ってもおいしいレシピを意識してます。パッと見てわかりやすいよう、工程の写真もたくさん入れるようにしてますね。