日産自動車は10月8日、内部規定に違反する報酬の不正かさ上げをしていた責任を取って辞任した西川廣人社長兼CEOの後任に、内田誠専務を昇格させる人事を決めた。同時に最高執行責任者(COO)にルノー出身で現三菱自動車COOのアシュワニ・グプタ氏を、副COOに日産で経営再建のための中期経営改革推進を担当する関潤専務をそれぞれ昇格させることも決定。人事は遅くとも来年1月1日までに実施される。

 これらのトップ人事は、社外取締役中心に構成される指名委員会で決めた。日産は今年6月の株主総会を経て、社外取締役が過半数を占める指名委員会等設置会社に移行している。取締役会議長の木村康氏(元JXTGホールディングス会長)と指名委員会委員長の豊田正和氏(元経済産業審議官)が記者会見して新体制を発表した。今後は、3人の集団指導体制になる見通しだ。

横浜市の日産本社 ©iStock.com

営業利益が99%減、全従業員の10%をリストラ

 ルノーとの共同購買プロジェクトを担当した内田氏をトップに据え、ナンバー2にはルノー出身のグプタ氏を置いたことから、カルロス・ゴーン前会長の逮捕以降、日仏両国政府を巻き込んでぎくしゃくしていた日産とルノーの関係を元の友好的なものに戻し、アライアンスを再び軌道に乗せていこうという考えがうかがえる。

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 ルノー側も10月11日に開催した臨時取締役会で、ティエリー・ボロレCEOの解任を決めた。ボロレ氏はゴーン氏に近かったことや、ジャンドミニク・スナール会長との間で主導権を争い、両者の関係が悪化したことなどから解任に至ったと見られる。

新たに日産社長兼CEOに就任する内田誠氏 ©共同通信社

 いずれにせよ、今後は日産、ルノーとも新体制の下で三菱自動車を含めた3社アライアンスを推進していくことになるが、直近の大きな課題は日産の業績立て直しだ。日産が今年7月25日に発表した第1・四半期(4~6月)の決算では、営業利益が前年同期比99%減の16億円にまで落ち込み、いつ赤字に転落してもおかしくない状況だ。世界の14工場で閉鎖も含めた生産能力を縮小し、全従業員の約10%に当たる1万2500人を削減するリストラも展開している。