バレーボールの国際大会は「4年に1度」と謳われるものが1つではない。世界選手権の翌年にはワールドカップ(以下W杯)があり、その翌年はオリンピック、というように「4年に1度」の大会が複数あり、その都度異なる放送局が「世界一決定戦」と煽る。

 そのたび、周囲からは「結局どれが一番大きい大会なの?」と聞かれ、同じ言葉が付け加えられる。「女子は盛り上がるけれど、男子は勝てないんでしょ」と。

 いやいや、バレーボールを見るなら醍醐味は男子バレーだよ。しかも今は、日本代表も世界と同じ方向に向かって戦っているから面白いよ。飽きるほどそう繰り返しても、なかなか響かずにいたが、ようやく風向きが変わり始めた。

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 W杯で過去最多の8勝を挙げ4位という好成績を収めたことに加え、連日の試合内容も「何かが違う」と思わせるには十分。ようやく、こんな言葉が聞けるようになった。

「男子バレー、面白いね!」

W杯で28年ぶりに4位になった男子バレー日本代表 ©getty

 4年に1度の国際大会の戦績を見れば、中垣内祐一監督が就任した17年のワールドグランドチャンピオンズは6チーム中6位。昨年イタリアとブルガリアの共催で行われた世界選手権は1次リーグ敗退。確かに、結果は出ていない。

 では何が変わったのか。

「やっと日本が本気になった」フランス人コーチの存在

 まず1つは、中垣内監督の就任と共に招聘された、フィリップ・ブランコーチの存在だ。かつてフランス代表監督を務め、ポーランド代表ではコーチとしてチームを世界一に導いた。指導者として豊富な経験を持つブランコーチが日本代表スタッフとして招聘されると、それまでは「日本は時代遅れ」と常に辛辣な意見を述べてきたイタリア人記者も、「素晴らしいチョイスだ。やっと日本が本気になった」と称賛したほど。

 体格も、対世界との経験も、恵まれているとは言い難い日本男子が世界と戦うために何をすべきか。戦術や戦略形成の軸となったのが、ブランコーチの経験だった。リオ五輪以前までの戦い方を徹底的に分析し、日本がサイドからの攻撃数に比較して、ミドルブロッカーを始めとするコート中央からの攻撃数が圧倒的に少ないことを重視した。

 チームスタート時の17年はまずミドルブロッカーの打数を増やすことを掲げ、同じ東レに所属し、代表初招集のセッター藤井直伸とミドルブロッカーの李博がホットラインとなり、それまでの「パスが返ればミドルを使う」という固定観念から、「どんな状況でも使えるならミドルを使う」と新たな発想へと転換。さらに翌年は、そこからのベースアップとして、前衛ミドルの攻撃と同じテンポで展開するコート中央からのバックアタックを多用することで攻撃に厚みが増した。