「倫理観に欠けている」批判に、「えっ、そこが面白いんだけど」
トッド・フィリップス監督がパンフレットで語っているこの部分。
「監督はコメディ映画のイメージが強く、
《あの映画(『ハングオーバー!』)は「倫理観に欠けている」
と答えている。
そして、
《だけど今は、コメディを作りつつ、
と語っている。続けて、
《世界はあらゆることに敏感になっていて、
あ……。
「もしかして『ジョーカー』ってトッド・フィリップス監督の渾身のジョークだったのか?」と。
「M-1グランプリ」の構造と似ている
もしそうなら、これは確かに大ネタである。コメディの枠を超えてみんな真面目に見ちゃっているからだ。
私はこれに似た感覚に心当たりがあった。なんだっけ……
そうだ、「M-1グランプリ」だ!
M-1はお笑い番組である。しかし真剣に見る人が続出。私もそう。あのヒリヒリ感と緊張感はたまらない刺激がある。視聴者を引き付ける。
そして何より演者のネタが年々高度になり、見る側はSNS等での番組実況や感想もついつい真面目になる。批評的になるのだ。
「おい、なに笑ってんだ。漫才やってるんだぞ。真面目に見ろ!」
「そんなとこで簡単に笑うな!」
「審査員ちゃんと審査しろ!」
というような感じで。
よーく考えればこの構図は可笑しい。しかし「M-1を真面目に見る人」が続出すればするほどあの「お笑い番組」は大成功なのである。素晴らしいシステムではないか。
実は「ジョーカー」も同じなのではないか?