文春オンライン

2019/11/05

genre : ライフ, グルメ

「知り合い連中がこの場所を教えてくれてさ。場所的には悪いんだけど、お金がなかったからしょうがないということで。でもオープンしたときは、コンビニなんかなかったしバブル全盛期だったから、まあ、お客さんはどんどん来たねえ。でも、いまは来ない。俺たち東京の人間は、食べるとなったら店へ行くじゃない。この辺の人は来ないんで、出前が専門なんだよ。だから出前7割・店3割ぐらいの、そんな感覚なのよ」

調味料入れがきれいな店は信頼できる

「1日の半分以上が配達だからね」

 朝は8時半ごろにご自宅を出て、まずは前日の出前の器下げ。その後、9時ごろから仕込みをし、11時半(早ければ11時)には店を開ける。コンビニに行く人が増えたため、いまではお昼のお客は減ったものの、それでも2時まで営業。夜は5時から9時までだが、お客さんに対応しながら出前もしなければならないので忙しい。

背筋がビシッとしていて、動きも機敏だ

「もう歳が歳だからねえ。オートバイじゃ重たいですよ。でも2時に閉めて5時に開けるまで休憩時間が2時間半ぐらいあるからね、けっこう休めるよ。ただ、年中無休なんですよ、私は。定休日の月曜日も、日曜日の器下げをやって、火曜日の仕込みをやらなきゃならないから。午前中はそれでつぶれちゃう。だから月曜日の午後はほとんど家にいますよ。午前中はここで仕込みやって、午後から家へ帰って飲んでる。夜8時ごろには寝てます」

出前でフル稼動しているスーパーカブ

 淡々とおっしゃるが、若い人が同じことをしたとしても相当キツいに違いない。どう考えてもハードワークだ。

「自分でもよく40年もやってると思って、感心しちゃうよ。でも、あと3年やって80になったら、その先どうなるかはわかんないね。配達がなくてもやっていければね、85、6までできるかもしれない。でも、このへんは配達の町で、1日の半分以上が配達だからね。しかも配達に行ったら、また(器を)下げなきゃならないでしょ。それがね」

息子に店を継がせる気はない

 ふたりの息子さんは独立しており、店を継がせる気もないという。

「上の兄ちゃんは情報処理のコンピュータをやってて、下の倅は機械の修理をやってる。だから、私だけで終わりです。やっぱり若い人は、自分の好きな仕事をやるのがいちばんいい。だから、あとを継いでほしいとか全然思ってない。ただ、下の倅は高校出るときに、『おやじ、俺、調理師学校に行きたいんだ』というような話をしてたね。料理は嫌いじゃないみたいだから、年取ってからどうなるかわからないけどね」

ビニール袋に包まれたラジカセ

 さて、いよいよラーメンを食べてみよう。札幌やにいたということは、その味を継承しているのだろうか?